タイトル(掲載誌)平成10(1998)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1998 Research Project Summary
一般注記金沢大学附属病院
前年度の実験では横長の粘膜欠損になる点と,中央の粘膜下層に針を刺入する際,角度や距離が不安定になる点が問題として残った.【横長の粘膜欠損になる点】中央に刺入する針の粘膜刺入点と粘膜から出てくる点,外側の針刺入点に囲まれた三角形のスネアリングになることが原因であった.スネアリングの形を半円形にするか,中央に針が粘膜下層に潜る距離を長くする必要があった.クリップを打ち込み半円形スネアリングはできたが,煩雑で内視鏡下には極めて困難と考えた.中央の針の刺入距離を伸ばすことが目下の解決法と考えられた.【中央の針の刺入が不安定になる点】雑種成犬の胃の各所で刺入距離4cmを目指して実験を行ったが,28ケ所中,満足できる刺入が行えたのは3ケ所に過ぎなかった.21ケ所では目標とした距離より短い所から針が出てくる結果となり,4ケ所では胃壁を貫通して胃外に出てしまう結果となった.剛性の強いワイヤーを試作したが,内視鏡の操作性が劣化し,特に反転による操作が困難となる欠点があった.しかし剛性の強い針では,胃大彎側の粘膜においては良好な刺入能力を見せ,5ケ所中4ケ所で満足できる刺入ができた.【内視鏡下でのスネアリング】使用したイヌの食道では2本の内視鏡操作が不可能であったため実験をin vitroに変更した.中空針から出てきたスネアをもう一方の内視鏡から刺入した中空針を通して引き出すことはかなり煩雑であったことが,時間をかければ可能であった.通したスネアの両端をもとにシースの中に通し,このシースにより粘膜の絞扼を行った.これは31回実験を行い,17回粘膜切除ができた.所要時間は27分から79分,平均41分と長かった.不成功例の原因としては中央の針の刺入不良が最も多かった.臨床応用にはさらに改良を加えて安定した手技にする必要がある.
研究課題/領域番号:09770932, 研究期間(年度):1997 – 1998
出典:「最小侵襲外科と管腔内視鏡の協調による新しい胃粘膜切除術の開発」研究成果報告書 課題番号09770932(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09770932/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=10251951
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-09770932/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)