タイトル(掲載誌)平成18(2006)年度 科学研究費補助金 若手研究(B) 研究概要 = 2006 Research Project Summary
一般注記金沢大学附属病院
骨粗鬆症脊椎における骨折の発生機序をコンピュータシミュレーションにより生体力学的に検討した.すなわち,CT撮影した脊椎のデジタルデータから,コンピュータ上で3次元モデルを作成して有限要素解析を行った.女性4人を対象とし,全症例に対し二重エネルギーX線吸収測定法を用いてL1の骨密度を測定した.症例A, B, C, Dの若年成人平均値(young adult mean)は順に98%,75%,63%,46%であった.それぞれの症例に対してL1をCT撮影し,その画像データをもとにMechanical Finder^<TM>を用いて有限要素モデルを作成した.L1椎体下縁を完全拘束し,椎体上面から一様な垂直圧縮荷重を負荷し,荷重増分解析を行った.椎体の完全破断は症例A, B, C, Dそれぞれ1400N,1000N,600N,600Nで生じた.椎体に圧縮荷重を負荷すると骨密度に関係なく,全症例においてまず椎体前方で骨折が発生し,さらに大きな荷重が負荷されることにより骨折は椎体前方から側方へ拡がることが分かった.臨床的に前方楔状骨折が多いことが生体力学的に裏付けられた.椎体後方には椎弓根が存在し,椎体後方を支える構造をとるため,相対的に椎体前方の構造が後方に比べて弱くなるので,結果的に椎体前方に応力が集中すると考えた.また,骨粗鬆症のない症例A, Bでは,骨折は椎体後壁にまで及ばなかったが、骨粗鬆症の症例C, Dでは,椎体内の海綿骨での応力強度比が上昇せず,椎体後壁に応力強度比の過度の上昇を認め,椎体後壁にまで骨折が及んだ,これは骨密度が低いと海綿骨の支持性が弱く,荷重を皮質骨のみで受けようとするため,椎体後方の皮質骨にまで応力が集中し,椎体後壁に骨折が生じるものと考えた.骨粗鬆症脊椎骨折では椎体後方の損傷を念頭におき,神経症状の出現に留意する必要がある.
研究課題/領域番号:17790995, 研究期間(年度):2005 – 2006
出典:「骨粗鬆性脊椎骨折の力学解析-椎体骨折はどのようにして生じるのか-」研究成果報告書 課題番号17790995(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17790995/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=54724&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=70334779
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17790995/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)