タイトル(掲載誌)平成20(2008)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2008 Research Project Summary
一般注記金沢大学附属病院
【目的】破砕赤血球は微小血管障害、血管内凝固症候群、溶血性尿毒症症候群等の際に認められ、一刻を争う重症患者の治療方針を左右する重要な検査項目であるにも拘らず、その測定は末梢血塗抹標本の顕微鏡下での視算法に頼らねばならないため、検査のばらつきが大きく、標準化も困難であった。今回、結果が瞬時に得られるXE-2100での測定が可能となったため、その有用性について検討した。【方法と対象】使用機器は、破砕赤血球算出用ソフトであるREDマスタを搭載したXE-2100で、対象として健常成人1360名(男性420名・女性940名)および当院入院、外来患者66名とした。【結果】健常成人による参考値は男性0.045%以下・女性0.35%以下となり性差が生じた。7検体を対象とした同時再現性はcv=2.65~23.4%(n=15)とほぼ良好であった。また対照としてMay-Giemsa染色による塗末標本を10枚作製し、視算法にて破砕赤血球をカウントした同時再現性はcv=20.1~29.1%であった。さらに同一標本を5人の技師により破砕赤血球視算法を行った結果は0.5~1.1%、0.8~1.8%の範囲であった。破砕赤血球1.93、8.34、1.54、2.27%の試料を1,2,3,5,8時間(一部24時間)後まで経時変化をみたところ、1~8時間後より低下傾向が認められ、全例で低下したものの安定性は各試料により一定していなかった。XE-2100での破砕赤血球値4.34および11.71%を示す試料をXE-2100測定用希釈液であるセルパックHにて倍々希釈した結果、直線性は良好であった。健常成人および当院入院患者80名を対象としてXE-2100測定値と視算法(技師2名による平均値)の相関を見たところ、相関は認められなかった。以上より、XE-2100による破砕赤血球測定は瞬時に結果が出る利点はあるものの、信頼性に欠ける結果となった。さらに健常者には出現しないはずの破砕赤血球の参考値で性差が出たのは、測定原理に問題があることが示唆される。女性で大きいことより、赤血球の大きさ・ばらつき等その原因を追究する必要があると思われる。
研究課題/領域番号:20930010, 研究期間(年度):2008
出典:「XE-2100における破砕赤血球の評価」研究成果報告書 課題番号20930010(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20930010/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=56266&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=20930010
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20930010/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)