並列タイトル等Analysis of mechanisms in which upregulation of MCM10 contributes to maintenance of breast cancer stem cells
タイトル(掲載誌)令和1(2019)年度 科学研究費補助金 基研究活動スタート支援 研究概要 = 2019 Research Project Summary
一般注記金沢大学がん進展制御研究所
本研究では、腫瘍の発生のみでなく治療後の再発の原因ともなり得るがん幹細胞と呼ばれる細胞集団において、特に重要な役割を担っていることが示唆されたMCM10という分子の役割を解明することを目的とする。これまでに我々はMCM10の発現を抑制することにより、がん細胞の集団中におけるがん幹細胞の割合を減少させられることを見出してきた。ここではその詳細なメカニズムを明らかにするとともに、実際の治療への応用を想定し、腫瘍形成後であってもMCM10を発現抑制することで十分な治療効果が得られるかについても検討を行なう。
腫瘍は非常に不均一な細胞集団で構成されることが明らかになっており、その中には自己複製能と分化能を併せ持ち、腫瘍の発生のみでなく、治療後の再発の原因ともなるがん幹細胞 (Cancer stem-like cell; CSCs) と呼ばれる少数の細胞集団が存在することもわかってきた。CSCsを標的とした治療法を開発するため、申請者はこれまでにCSCsの性状解析を進めてきており、DNA複製に関与するminichromosome maintenance protein 10 (MCM10) の発現亢進がストレス環境下でのCSCsの生存に寄与することを見出してきた。siRNA等を用いたMCM10の発現抑制によってCSCsに優先的に細胞死を起こさせることができるというこれまでの実験結果に基づき、本研究ではMCM10の発現亢進がCSCsの生存に寄与するメカニズムを明らかにすることを目指した。申請者が最終年度に実施した解析の結果から、CSCsでは他のがん細胞と比較して遺伝子の転写活性が亢進しており、転写に関わる因子と複製に関わる因子の衝突がDNA上で高頻度で生じていることが明らかになった。CSCs内で発現亢進を受けたMCM10はそのような複製ストレスの生じやすい環境において、休眠状態の複製起点を高効率で活性化させることでCSCsの生存や増殖に寄与していることを示唆する結果も得られた。このような研究結果より、予後不良の原因となるCSCsを治療標的とするうえでMCM10をターゲットにすることの有効性が示されたと考えられる。
研究課題/領域番号:19K23910, 研究期間(年度):2019-08-30 – 2020-03-31
出典:「DNA複製因子MCM10の発現亢進による乳がん幹細胞維持機構の解析」研究成果報告書 課題番号19K23910(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K23910/ )を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=52694&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=40847620
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K23910/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)