タイトル(掲載誌)平成23(2011)年度 科学研究費補助金 奨励研究 研究概要 = 2011 Research Project Summary
一般注記金沢大学附属病院
(目的)冬期の家事動作における心血管疾患患者への影響を検討するため,対象を中高齢女性とし局所冷却部位をそれぞれ手,足部,背部に実施した.評価には自律神経への影響を検討するため心電図周波数解析を行った.深部と表在温度への影響も検討するため深部,表在温度の測定も実施した.(対象と方法)対象は心疾患のない女性10名であった.平均年齢57.6歳,身長157.0cm,体重51.6kg,体脂肪率28.9%であった.室温26℃で安楽な座位をとり十分な休息をとった後,安静5分,対象部位の冷却5分,その後再び5分間の安静を実施した.対象部位の冷却はそれぞれ1日1部位とし,右手,右足部は5℃にした冷水に5分入れる,背部は-20℃に冷却したアイスパックにタオルを1枚巻き肩甲骨周囲に5分当てた.心電図の周波数解析にはCNS社製Task-Force monitorを使用した.交感神経の指標にはLF/HFを,副交感神経の指標にはHFを使用した.表在温度の測定にはプリアーシステムジャパンFLIR13を使用し中指遠位,中趾遠位の表面温度を測定した.深部温度の測定には外耳道温度計DBTL2を使用した.(結果)5分の冷却で右中指遠位は9.4±1.6℃まで,右中趾遠位は9.1±1.6℃まで低下した.背部は30.3±1.0℃まで低下した.右手冷却時の安静時LF/HFは1.0±0.9,HFは51.8±20.4であったが冷却によりLF/HFは1.4±1.6,HFは45.0±19.6に変化した.右足部冷却時の安静時LF/HFは1.7±1.5,HFは47.8±15.2であったが冷却によりLF/HFは2.5±2.5,HFは40.2±19.5に変化した.背部冷却時の安静時LF/HFは1.7±1.4,HFは48.1±23.2であったが冷却によりLF/HFは1.7±1.3,HFは44.8±20.7に変化した.外耳道温度計による深部温度はどの部位の冷却によっても変化は認めなかった.(考察)手,足部冷却ではLF/HF成分の増加とHF成分の抑制を認め,足部により大きな反応が確認できた.冬期間の足部冷却は交感神経をより興奮させる要因があり,心不全患者には注意が必要であり防寒対策が必要であると考えられた.
研究課題/領域番号:23935009, 研究期間(年度):2011
出典:研究課題「局所冷却が心血管疾患に及ぼす影響を検討し疾患増悪の予防策を考える」課題番号23935009(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PROJECT-23935009/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=56296&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=23935009
https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PROJECT-23935009/
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