タイトル(掲載誌)平成8(1996)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1996 Research Project Summary
一般注記金沢大学人間社会研究域学校教育系
モデル褐色色素として、糖とアミノ酸をそれぞれ加熱還流し、メイラード反応系色素を得た。またクロロゲン酸を酸化重合させ、フェノール系色素を得た。500nmにおける吸光度を約1.0に調整した上記色素を一定容量内で一定比率(0〜100%まで9段階)で混合し、これを添加した液体培地を調製した。放線菌Streptomyces werraensis TT14,糸状菌Paecilomyces canadensis NC-1,担子菌Coriolus versicolor IFO 30340を本培地中でそれぞれ振盪培養し、培養液の上澄の500nmにおける吸光度を測定して脱色率を求め、色素の混合比率との関係について調べた。その結果、Glc-Glyメラノイジン(以下Glc-Gly)+クロロゲン酸、Xyl-Gly+クロロゲン酸の場合、メラノイジンの割合の増加に伴い、それぞれ担子菌、放線菌による脱色率は上がった。しかしメラノイジンの割合が一定量以下では着色した。Glc-Trp+クロロゲン酸の場合、糸状菌ではGlc-Trpの割合の増加に伴い脱色率も上がった(約35→90%)が、担子菌では全体的に着色した。また、市販の褐色食品についても同様に調べた結果、コーヒー+糖蜜では担子菌・糸状菌ともにコーヒーの割合の増加に伴い脱色率は減少したが、担子菌の脱色率の方が糸状菌より高かった(約80〜40%)。醤油+味噌では担子菌による脱色率は70%前後でほぼ一定であったが、糸状菌では全体的に着色した。麦茶+紅茶では、担子菌の場合麦茶の割合が40%以下では着色したが、割合の増加に伴い脱色率が上昇した(最高約70%)。以上の結果から、原料の異なる褐色色素2種類の混合液でも、脱色率は色素が1種類の場合にほぼ比例することがわかった。さらに、担子菌と糸状菌について固定化菌体を調製し、褐色食品の混合培地に順次添加し3日間ずつ培養した結果、醤油+味噌では糸状菌→担子菌の順で添加した場合の方が脱色率が高い傾向にあった。この場合、培養温度(27℃、4℃)による差は小さかった。
研究課題/領域番号:08780005, 研究期間(年度):1996
出典:研究課題「食品の褐色色素の微生物による脱色と、排水処理への活用」課題番号08780005(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08780005/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=00227513
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08780005/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)