タイトル(掲載誌)平成8(1996)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1996 Research Project Summary
一般注記金沢大学医薬保健研究域医学系
癌細胞細胞膜上に存在する膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ(MT-MMP)をターゲットした免疫療法の確立を目的とした.まず耳鼻咽喉科頭頚部外科領域の癌細胞細胞膜上にこのMT-MMPが発現しているかいないかを検索することとした.また3種類あるMT-MMPのうち1型のMT-MMP(MT1-MMP)を対象とした.癌細胞はこのMT1-MMPが不活性型のMMP2を活性型のMMP2に変換し,活性型MMP2が周囲の細胞外基質を破壊することにより浸潤,転移をおこす.そこで第一にゲラチンザイモグラフィーにて頭頚部癌における不活性型MMP2と活性型MMP2の発現を調べた.頭頚部癌10症例に対し行ったところ全てに活性型MMP2の発現が認められた.このことは頭頚部癌にも肺癌や胃癌と同様にMT1-MMPが発現していることが示唆された.そこで第二にMT1-MMPのmRANの発現をノーザンブロットハイブリダイゼイションにて調べた.活性型MMP2の発現を認めた頭頚部癌10症例のうち8症例に対して行ったが,全例にMT1-MMPのmRNAの発現が確認された.第三にMT1-MMPに対する抗体を作製し,頭頚部癌を免疫組織学的に検討した.27例の頭頚部癌を対象とした結果24例,89%が陽性すなわち癌細胞の細胞膜に反応が認められた.病理学的に分化度の高い癌に強く反応が認められた.以上のことより,MT1-MMPは頭頚部癌においても腫瘍マーカーとしてのみならず,遺伝子治療のターゲットとして有用であることが解った.そこで現在MT1-MMP発現プラスミドとバクテリアを用いてMT1-MMP蛋白を精製中である.MT1-MMP蛋白を精製後この蛋白とTリンパ球をサイトカインなどの存在下に混合培養し,殺腫瘍細胞効果を持ったTリンパ球の活性化を検討していく予定である.
研究課題/領域番号:08771393, 研究期間(年度):1996
出典:研究課題「膜型マトリックスメタロプロテイナーゼを標的とした遺伝子治療に関する研究」課題番号08771393(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08771393/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=59575&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=40272976
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08771393/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)