タイトル(掲載誌)平成8(1996)年度 科学研究費補助金 基盤研究(C) 研究概要 = 1996 Research Project Summary
一般注記金沢大学薬学部
インフルエンザウイルスの感染した培養細胞では、アポトーシス誘導因子Fasリガンドおよびその特異的受容体Fasの増加に続いて、アポトーシスが引き起こされる。この研究では、インフルエンザウイルス感染細胞におけるアポトーシス誘導の仕組みを、FasリガンドとFasの生産量増大機構に注目して解析した。ヒトFas遺伝子の転写プロモーターを含むDNA断片をクローン化し、培養細胞への遺伝子導入・発現アッセイを利用してプロモーター活性を解析した。その結果、インフルエンザウイルス感染細胞におけるFas遺伝子発現の促進は転写レベルで起こり、それはおもに転写開始点よりも下流域に存在する約200塩基対のDNA領域の働きで制御されることがわかった。さらに、このFas遺伝子転写の促進は、インフルエンザウイルス感染によって活性化されたNF-IL6と呼ばれる転写因子が引き起こすことが明らかになった。現在、感染細胞におけるNF-IL6の活性化がリン酸化によって起こる可能性を追及している。インフルエンザウイルス感染細胞表層へのFasリガンドの出現を時間経過を追って調べたところ、Fasとほぼ同時に起こることがわかった。さらに、多くの感染細胞では、FasリガンドとFasの生産がともに増加することが明らかになった。これは、"FasリガンドとFasを持つようになったウイルス感染細胞どうしが接触して互いにアポトーシスを誘導し合う"という仕組みの存在を示唆する。現在、インフルエンザウイルス感染細胞のアポトーシスが本当にFasリガンド・Fasを介して誘導されるのかを検討中である。
研究課題/領域番号:08680679, 研究期間(年度):1996
出典:研究課題「ウイルス感染による宿主細胞のアポトーシス制御機構」課題番号08680679(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08680679/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=59928&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/search/?qm=40172358
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08680679/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)