タイトル(掲載誌)平成7(1995)年度 科学研究費補助金 一般研究(C) 研究概要 = 1995 Research Project Summary
一般注記金沢大学自然科学研究科
拘束ストレスによっておこる脾臓ナチュラルキラー(NK)細胞活性の抑制が、脾臓交感神経終末からのノルアドレナリン遊離の促進に起因する可能性を検討した。脾臓に慢性留置した微小プローブにて経時的に回収したノルアドレナリンを、高速液体クロマトグラフ・電気化学検出器による分析した。透析チューブ内に回収したノルアドレナリンは(1)高K^+濃度のリンガー液の潅流および脾臓交感神経の電気刺激により増大し、(2)TTXに感受性を有し、Ca^<2+>依存性であること、(3)薬理学的にシナプスでのモノアミンの遊離を促進、あるいは再吸収を抑制することが明かにされているアンフェタミン、コカイン、デシプラミンなどを潅流液中から微量投与することにより有意に増加することなどから、血中由来のものではなく、主として神経終末から放出されたノルアドレナリンを分析していることを確認した。拘束ストレス開始後、脾臓のノルアドレナリンは潜時20分以内に基礎遊離量の約8倍にまで増大し、その後20分間持続した。この拘束ストレスによるノルアドレナリン遊離は、あらかじめ脾臓を支配する交感神経を切除することによって著明に抑制されることから、脾臓交感神経から遊離されたノルアドレナリンを反映していると考えられる。さらに、拘束ストレスによって脾臓のNK細胞の活性も有意に抑制されるが、これも脾臓交感神経の切除によって有意に阻害される。以上の結果から、拘束ストレス時におこる脾臓NK細胞活性の抑制は、脾臓交感神経終末からのノルアドレナリンの遊離が促進することに起因すると考えられる。一方、拘束ストレス後視床下部でセロトニンの遊離が有意に増加し、これは抗不安作用を有するdiazepamあるいは80H-DPATの前投与によって完全に阻害できた。以上の結果は拘束ストレス・免疫応答における視床下部・脾臓交感神経の機能的連関を示唆する。
研究課題/領域番号:07670078, 研究期間(年度):1995
出典:研究課題「環境ストレス・免疫系応答における視床下部・脾臓交感神経系の機能的連関」課題番号07670078(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-07670078/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=60004&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/search/?qm=50019634
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-07670078/
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