タイトル(掲載誌)平成6(1994)年度 科学研究費補助金 奨励研究(A) 研究概要 = 1994 Research Project Summary
一般注記金沢大学医療技術短期大学部
【目的】末梢神経損傷を伴う外傷手で,示指各関節の屈曲あるいは伸展による各関節トルク値を算出し,示指屈曲・伸展運動における手内筋の関与を検討した.【対象】末梢神経損傷を伴う外傷手4例8手(年齢23.8±4.8歳)の示指を対象に健側手と対照させた.症例1と2は手内筋の回復が見られない手内筋マイナス群で,症例3と4は回復が見られる手内筋プラス群とした.【方法】4枚の歪みゲージ(日本電気三栄社製,N11-FA-10-120-11)を用いた自作の指押し力測定器具で指押し力を測定し,各々の関節からの距離との積によって各関節トルク値を算出した.各々測定は3回おこない最大値を記録した.【結果と考察】屈曲トルク値は,手内筋マイナス群ではDIPで最も大きく,PIPとMPはDIPの約1/3であった.PIPのトルク値が減少したのは,虫様筋の麻痺により深指屈筋の収縮力が有効に作用しなかったためと考えられたが,その機序は解明できなかった.またMPトルク値の減少はMPの屈筋群である第1背側骨間筋の麻痺によるものとも考えられる.伸展トルク値は,健側では,MP(IP伸展位),MP(IP屈曲位),PIP,DIPの順で大きく,患側では,MP(IP屈曲位),MP(IP伸展位),PIP,DIPの順であり,健側ではMPのIP伸展位が,患側ではMPのIP屈曲位が最も大きい値を示した.MP伸展力は指伸筋で作られるが,健側のIP伸展位では虫様筋が収縮しFDP腱を遠位方向に引き,FDPによる拮抗作用を減少させることでIP伸展位が大きい値を示したと考える.一方,患側では虫様筋が収縮しないため,PIP関節の肢位によってFDPによる拮抗作用は減少せず,IPI屈曲位で指伸筋は他動的に伸張され,その分収縮力が有効にMPに作用し大きい値で測定されたと考える.すなわち,手内筋の麻痺によってPIP,MP関節の屈曲力と伸展力はともに減少することが示唆された.
研究課題/領域番号:06771127, 研究期間(年度):1994
出典:研究課題「つまみ動作で発生した手指各屈筋と伸筋の収縮力-関節トルク値の測定による算定-」課題番号06771127(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06771127/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?kw=70251965
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06771127/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)