タイトル(掲載誌)平成11(1999)年度 科学研究費補助金 萌芽的研究 研究課題概要 = 1999 Research Project Summary
一般注記金沢大学工学部
本研究は,海洋波浪のエネルギーの抽出および利用を目的とするものであり,(1)波浪の往復運動を一方向回転力に変換する新型波力水車機構および(2)この回転力を利用して圧縮空気の製造を行うリニアクランク式空気圧縮機を新たに発明・製作し,それらの結合をおこなうことによって,自動的に波浪エネルギーから圧縮空気を製造する装置の開発を目指すものである.(1)の波力水車では,ワンウェイクラッチ付きの歯車を2個と回転反転用の歯車を1個用いることにより,波の峰側と谷側で半周期ごとに方向が反転する水の運動力を一方向回転力に変換することに成功した(特許取得;第2944495号).また回転数の増加には,半径の異なる歯車を適宜付加すれば,容易に目的が達せられる.(2)のリニアランクは,ハイポサイクロイド理論を用いた直線運動方式のクランク機構のことであり(特許確定;特開7-305601),スラスト力が生じない機構であるため,シリンダー摩擦および横振動がほとんど生じない仕事効率の極めて良いものである.本研究の結果,(1)および(2)の2種類の機構の試作を終え,各々,十分実用化が可能であるとの結論を得ることができた.2年間に亘り,これらの両機構を結合した波力エネルギー抽出装置の模型の試作を行い,実験室における波浪を用いた圧縮空気の製造実験を実現した結果,(1)と(2)の寸法スケールのマッチングに検討部分を残すものの,波力という自然エネルギーを利用する自動的な海洋エアレーション装置を開発・提供することに成功した.なお本装置は,潤滑油や油圧ポンプを全く使用しないものであるため,環境保全という面から,従来の油圧ピストン方式よりも優れたものであり,またエネルギー伝達効率は,ロスの小さい内歯車によることから,従来の空気タービン式や油圧ピストン式よりも効率が良いと考えられる.さらに一旦本機械を設置すれば,以後のメンテナンスはほぼ不要であるという利点がある.今後は,本成果をもとにし,実海域に設置し得る現地スケールの装置を試作し,実験することを計画している.
研究課題/領域番号:10875098, 研究期間(年度):1998 – 1999
出典:研究課題「高効率の新型波力水車の開発と海洋エアレーションへの応用」課題番号10875098(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10875098/)を加工して作成
一次資料へのリンクURLhttps://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=60262&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/search/?qm=50093183
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-10875098/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)