タイトル(掲載誌)平成24(2012)年度 科学研究費補助金 基盤研究(C) 研究課題概要 = 2012 Research Project Summary
一般注記金沢大学医学系
最新のDNAバーコーディング構想を臨床検査に導入して、全ての腸管寄生原虫を特異的かつ網羅的に検出・同定するという新しい検査法の確立を目指し、ヒトに感染し得る6種のEntamoeba属(E.histolytica、E.dispar、E.coli、E.hartmanni、E.polecki、E.moshkovskii)を同定する新規PCR法を確立した。さらに、その有効性を確認すると同時に途上国におけるアメーバ属感染状況の解明を目的に、Entamoeba属の遺伝子型解析を実施した。具体的には、Entamoeba属を網羅的に検出するPCR(網羅的PCR)と種特異的PCRの組み合わせによるnestedおよびsemi-nested PCR法を用い、インドネシアにおいて採取した459検体の糞便サンプルに本法を適用し、糞便から直接抽出したDNAをテンプレートに、Entamoeba属の検出および種同定を実施した。網羅的PCRでは79検体(17.2%)が陽性を示し、その内、E.dispar 6検体(1.3%)、E.coli 62検体(13.1%)、E.hartmanni 38検体(7.6%)、E.polecki 2検体(0.4%)が種同定PCRにより同定された。また、22検体(4.8%)は混合感染だった。以上の結果から、まん延地域では複数の種による重複感染が日常的に起こっており、PCRを用いた検出と分子疫学的解析を実施するには、本法で使用したような各々の種を特異的に検出可能なプライマーが必要であり、有効であることが判明した。したがって、網羅的PCRと特異的PCRを組み合わせた分子系統樹におけるクラスターごとの検出は、DNAバーコーディングを原虫同定に適応していく上で現実的に可能なアプローチであり、今後、その適応範囲を広げていくことが比較的容易と考えられた。
研究課題/領域番号:22590377, 研究期間(年度):2010 – 2012
出典:研究課題「腸管寄生原虫類の網羅的検出法の開発と遺伝子情報リファレンスの構築」課題番号22590377(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22590377/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/search/?qm=20047179
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22590377/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)