タイトル(掲載誌)平成4(1992)年度 科学研究費補助金 一般研究(C) 研究課題概要 = 1992 Research Project Summary
一般注記金沢大学医学部
1.強力な血管収縮ペプチドであるエンドセリン(ET)-1の昇圧量を全身的に投与しても尿細管糸球体フィードバックに変化はない.これは腎局所でETに拮抗する血管拡張性因子の放出があり,ETの作用が修飾されるためである可能性がある.今回の研究では,ETを直接,尿細管腔内に潅流し,糸球体血行動態に対する影響を検討した.2.Sprague-Dawley系ラット(体重230-290g)を用い,ネンブタール麻酔下にHenle係蹄微小潅流実験を施行した.人工尿細管液(ATF)あるいはET-1を加えたATFを用いて,近位尿細管終末部よりHenle係蹄を40nl-minで潅流し,同時に同一ネフロンでearly proximal flow rate(EPFR)を測定した.3.ATF単独では,EPFRは非潅流時の28.6±5.1から14.9±4.6nl/minと有意に減少し,潅流中止後は28.8±5.8nl/minと完全に前値に復した.4.10^<-6>MのET-1を加えたATFの潅流で,EPFRは29.9±4.6から0.5±0.7nl/minと著明に減少し,潅流中止後も0.4±0.8nl/minであった.10^<-9>あるいは10^<-8>MのET-1では,EPFRに変化はなく,10^<-7>MのET-1の潅流では中間の態度を示し,EPFRは26.0±3.2から7.3±4.7nl/minに減少し,潅流中止後13.0±4.7nl/minに回復した.5.カルシウム拮抗薬(manidipine,10μg/kg/h)を腎動脈内に注入した条件下では,ATF潅流によるEPFRの減少は生じなくなるが,ET-1(10^<-6>M)潅流でEPFRは35.9±2.5より2.4±1.5nl/minと著明に減少した.6.尿細管と糸球体の唯一の接点は傍糸球体装置であることから,ET-1が密集斑から傍糸球体装置を通り,血管外膜側から糸球体細動脈に作用する可能性が考えられる.また,この作用はカルシウムチャネルの活性化以外の機序を介するものである可能性も示唆される.
研究課題/領域番号:04670524, 研究期間(年度):1992
出典:研究課題「腎微小循環および尿細管糸球体フィードバックに対するエンドセリンの効果」課題番号04670524(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04670524/)を加工して作成
関連情報https://kaken.nii.ac.jp/search/?qm=60111762
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04670524/
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)