一般注記ラドン濃度の原位置測定では、水中ラドン濃度と空気中ラドン濃度の観測とともに、モニタリング孔の水位や雨量、風速、積雪量の観測も大切である。ラドン観測情報ネットワークシステムは、ラドン濃度が規制値以上を記録したときの早期発見の危機管理にも応用でき、長期的な安全確認のためのモニタリングシステムとしては最適である。季節変動や気象状況に起因する、空気中、水中ラドン濃度の予測についても、十分に対応できるシステムである。水中ラドン濃度の原位置測定するために、2種類の水中ラドン計が開発された。水中投入型と地上設置型の水中ラドン計である。また、室内ラドン濃度測定に適した小型空気中ラドン計と、屋外ラドン濃度を測定するための高感度の大型空気中ラドン計が使用された。屋内ラドン濃度は、冬期に観測小屋が雪に埋もれて、7,000(Bq/m3)まで上昇することが判明した。露天採掘場跡地の屋外ラドン濃度は、明け方、風速が秒速0.5m以下になると、ラドン濃度は200(Bq/m3)まで高くなることがわかった。屋外月平均ラドン濃度は約50(Bq/m3)と比較的に高くなった。No.18モニタリング孔の水中ラドン濃度は、冬期の2月$\sim$3月は約20(Bq/l)と高く、夏季の7月$\sim$8月は5(Bq/l)で低い。No.19モニタリング孔の水中ラドン濃度は、1月から8月の期間は20(Bq/l)と比較的低く、8月から1月の期間は50(Bq/l)と上昇している。No.5モニタリング孔の水中ラドン濃度は、夏季の7月$\sim$8月のラドン濃度は数(Bq/l)と低く、冬期の12月$\sim$1月のラドン濃度は35(Bq/l)と高い傾向を示している。No.23モニタリング孔の水中ラドン濃度は8月は53(Bq/1)と低く、4月は565(Bq/1)と高い。この観測値は4ケ所のモニタリング孔の中で最高のラドン濃度を示した。雨量と水位の変動データの解析結果から、No.23モニタリング孔においては、地下、水流動が小さく、その結果、水中ラドン濃度の増加が予想される。水位とラドン濃度の変動は密接に関係しており、夜次露天採掘場跡地の中心部では、水位が高い程、水中ラドン濃度は低くなっている。逆に、跡地の下流部では、水位が高くなると、水中ラドン濃度は高くなっている。この観測結果から、水中ラドン濃度変動は地下水流動と強く関係していることが考察された。
一次資料へのリンクURL/JNC-TJ6400-2002-005.pdf (fulltext)
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
提供元機関・データベース日本原子力研究開発機構 : JOPSS:JAEA Originated Papers Searching System