一般注記MIU-4号孔の10深度から採取した岩石コアを用い,初期応力測定手法の一つであるDSCA(Differential Strain Curve Analysis)法を適用した室内試験を実施し,既にMIU-1号孔およびMIU-2号孔のコアで実施している同試験の結果との比較により,断層生成に起因する岩盤力学特性への影響を評価した。(1)クラックバラメータ($\Delta$$\beta$/$\beta$l)Iは,深度300mおよび550m以下の月吉断層下部で低下した。このようなクラック密度の分布傾向は,AN-1号孔およびMIU-2号孔の深度300mで水平初期応力が低下し,MIU-3号孔の月吉断層下部で初期応力が大幅に低下する傾向および正馬様用地西側領域の水平応力が深度600m付近から低応力側へのシフトするとうい水圧破砕試験の結果と対応するようにみえる。(2)($\Delta$$\beta$/$\beta$l)Iの最大主値の方向はN-SからNW-SE方向に分布していることから,MIU-4号孔が掘削された土岐花崗岩の最大初期応力の方向はN-SからNW-SE方向であると考えられた。この方向は,正馬様用地西側で実施された水圧破砕法による初期応力測定結果と比較的調和的である。(3)正馬様用地東側のMIU-4号孔の岩石試料を用いたDSCA試験の結果からは,深度の増加に伴う初期応力環境の系統的な変化は認められなかった。(4)MIU-1号孔から採取された試料の$\eta$OIの最大主値の方向はN-SからNW-SE方向に分布し,本DSCA試験から推定されたMIU-4号孔の最大初期応力の方向と類似していた。(5)MIU-1号孔のDSCA試験から推定される初期応力環境は,試料の採取深度に関わらずほぼ逆断層型であった。このことは水圧破砕試験から決定された正馬様用地西側の初期応力環境が深度600m以下で横ずれ断層型か正断層型であるという事実と整合しなかった。
一次資料へのリンクURL/JNC-TJ7400-2002-006.pdf (fulltext)
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
提供元機関・データベース日本原子力研究開発機構 : JOPSS:JAEA Originated Papers Searching System