一般注記超深地層研究所建設予定地内に掘削されたMIU-1号孔とMIU-2号孔のボーリングコアより採取した岩石試料にDSCA(Differential Strain Curve Analysis)法を適用し,得られた主ひずみの大きさ及びその方向を基に,試料内部のクラック異方性及びクラックの3次元分布特性について検討した。以下に主な知見を示す。(1)MIU-1号孔とMIU-2号孔では最大主ひずみと中間主ひずみがほぼ鉛直方向にそれぞれ位置する。MIU-1号孔では最大主ひずみの方向が,深度によって少し変動するが,NS方向ないしNW-SE方向となっている。(2)各試料で得た3つの主ひずみ$\epsilon$2の方向は,クラックひずみ主値$\zeta$2の方向と概ね一致する。なお,主値$\nu$2の方向については,主ひずみ$\epsilon$2やクラックひずみ主値$\zeta$2に比べてばらつきが大きく,2次導関数の計算誤差による影響と考えられる。(3)静水圧の負荷に伴って,最大主ひずみの方向が変動する試料があり,その変動幅は約30度であった。(4)深度509mを境に試料のcrack porosityと低圧領域(20MPa以下)の弾性係数は,単調な増加と単調な減少をそれぞれ繰り返している。これはMIU-1号孔とMIU-2号孔が月吉断層に近接することに関係すると考えられる。(5)静水圧$\sim$主値$\nu$2曲線において,1つの明瞭な主値$\nu$2のピークを示す試料が多いため,試料内部に卓越するクラック系が存在すると考えられる。(6)DSCA法で得られた主ひずみの方向が水圧破砕試験の結果とほぼ一致するため,地下応力測定法として有効性を確認することができた。
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