一般注記MIU-1孔の掘削によって採取した深度88.75$\sim$1010.80mの花崗岩の岩芯試料を対象に,浅部から深部までの花崗岩および割れ目充填物の構成鉱物,化学組成に関するデータを取得し,本孔の岩石学的特徴を把握することを目的として,岩石薄片作製,顕微鏡観察,X線回折,全岩化学組成分析からなる鉱物試験を実施した。岩石薄片観察の結果,本孔の花崗岩はすべて狭義の花崗岩であり,深度690m付近を境として,それ以浅の比較的黒雲母に富む岩相とそれ以深の石英・長石に富む優白質な岩相とに二分される。X線回折の結果,割れ目充填物および破砕部の粘土鉱物は,主にスメクタイト,緑泥石,雲母類からなり,各鉱物の含有量深度方向の分布には特に傾向は認められず,各鉱物間の相関も非常に低い。主成分化学組成分析の結果,本孔の花崗岩は化学組成の変化から4つのゾーン(浅部よりゾーン1,2,3,4)に区分され,ゾーン3の下部(深度690m付近)に同じマグマ溜まり起源で結晶分化作用末期の岩相がゾーン4に貫入し,同じ岩相がゾーン2(ゾーン3とゾーン1の間)に岩脈として多数貫入した可能性がある。
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