一般注記新規に合成した抽出剤を含む数種の大環状化合物を用いたバッチ法によるコールド基礎試験を実施し,大環状化合物による金属イオンの抽出分離の可能性及び課題の摘出を行った。本試験では,ジシクロヘキサノー18-クラウン-6-エーテルを中心に,硝酸への適用性および金属イオン抽出特性等について段階的に調査・検討を行った。その結果,以下のことが明かとなった。・新規に合成した抽出剤はいずれも酸濃度の高い領域では抽出能を示さなかったが,酸濃度の非常に低い領域($<$10-4N)においてピリジル基を置換したクラウノファン化合物が,20$\sim$30程度の分配比でAgを抽出した。・既存の大環状化合物では,ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6-エーテルが硝酸濃度の高い領域(1$\sim$3N)かSrを選択的に抽出できることを確認した。このときのジシクロヘキサノ-18-クラウン-6-エーテルによるSrの抽出錯体について調べたスロープ法による解析結果は,文献情報と異なるものであった。・さらに,模擬高レベル廃液を用いてジシクロヘキサノ-18-クラウン-6-エーテルによるSrの抽出の選択性および共存イオンの影響について調べた結果,共存イオンに妨害されることなくSrを選択的に抽出できることがわかった。以上の結果から,大環状化合物のうちクラウン化合物に属するジシクロヘキサノ-18-クラウン-6-エーテルにより,高レベル廃液からSrを分離できる可能性を有していることがわかった。このことは,硝酸環境におけるクラウン化合物の核種分離試薬としての可能性を示唆するものである。
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提供元機関・データベース日本原子力研究開発機構 : JOPSS:JAEA Originated Papers Searching System