一般注記我が国における将来のエネルギー供給の長期安定化とエネルギーセキュリティーの向上を図るため,安全性,経済性を含め,軽水炉によるウラン利用体系に勝るものとして高速増殖炉(FBR)によるプルトニウム利用体系を構築していくことが必要である。このため,FBRは将来の原子力発電の本命の炉であるとの位置付けの下に官民の協力体制により開発が進められてきており,現在,1992年の臨界を目指して原型炉「もんじゅ」の建設が順調に進められている。一方,FBRによるプルトニウムの利用については軽水炉が定着し,当面適切な努力によって天然ウランを確保する見通しのあること,FBRの実用化に必要な経済性の達成には,なお大きな課題が残されていることが明らかになってきたため,昭和62年に策定された原子力開発利用長期計画では2010年頃とする従来の実用化の時期の見通しに関して見直しがなされた。その結果,複数の炉の建設,運転経験を経るとともに所要の研究開発を積み重ねることにより,技術的基盤の確立を図りつつ,2020年代$\sim$2030年頃におけるFBRによるプルトニウム利用の技術体系の確立を目指すとの考えが示された。これを受けて,電気事業者による実証炉の設計研究が進められ,関係機関により研究開発が実施されている。FBRの実用化に当たっては,従来の技術を一層高度化し,さらに新しい概念構想を導入することにより,ハード,ソフトの両面から設計,建設,運転,保守の全般にわたって一層の合理化,高性能化を図り,安全性・信頼性の確保ならびに経済性の向上を追及していくことが課題であり,これを達成することによって同世代の軽水炉と競合しうるFBRの実現を図らねばならない。本調査研究では,FBRの実用化のための革新技術・要素システムとして考えられる各種技術やシステムのアイデアを出すことに主眼を置いた前回の調査をさらに発展させ,いくつかの主要技術について,それが実現されれば効果が大きいものを優先的に取り上げ,その技術開発の具体的進め方,課題解決のための方策を検討するとともに,それらを含むFBR技術全体について,他分野への応用,波及効果の可能性についても調査検討を行った。
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連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
提供元機関・データベース日本原子力研究開発機構 : JOPSS:JAEA Originated Papers Searching System