一般注記大型岩体を使用しての核種移行試験を実施するに当たり,既存の核種移行評価モデル及び核種移行試験について調査した。その結果をもとに,本研究で大型岩体試験を実施することの意義を示し,大型岩体を使用した試験内容,及び評価に使用するモデルについて検討した。大型岩体を使用した試験は,岩体内において核種の移行が選択的に発生する可能性のある割れ目面内での現象を対象としたものとすることが,最も好ましいと考えられ,この現象を把握する試験内容及び試験装置とした。評価に使用するモデルとしては,割れ目内核種移行現象を扱う2つのモデルについて検討しておくことが好ましいと考えられる。すなわち,1 移流-分散-マトリックス拡散モデル2 チャンネリング-マトリックス拡散モデルである。この2つのモデルにより大型岩体試験結果を評価し,どちらのモデルがより現象をとらえているかを確認することができる。また,モデルの有する問題点の抽出が可能となる。さらに,将来,割れ目系内核種移行を統計的に扱うことを目的として,次の水の流れ特性を把握するモデル概念について検討した。概念設計では,以上の検討をもとに,試験装置全体の概念図を作成した。一方,予察試験を通し,大型岩体中核種移行試験を実施するために必要な岩体サイズの大きさ,地下水のpH,Eh等の制御手法及び核種濃度分布測定手法について検討した。その結果,岩体サイズについては多孔質岩系である大谷石の場合10cm立方あれば,岩盤全体の平均的な透水係数を得ることができるが,結晶質岩系である稲田石の場合は,30cm立方でも平均的な透水係数を得ることができず,さらに大型の岩石を用いての透水試験を行う必要があることが分かった。また,pH,Eh等を制御するためにヒドラジンを用いて行ったが,pH,Ehを安定させるまでには少なくとも24時間グローブボックス内で放置しておく必要があることが分かった。また,核種濃度分布からは岩石中の水みちをさらに調べることが核種移行現象を把握する上で必要であることが分かった。
None
一次資料へのリンクURL/PNC-TJ4211-89-005.pdf (fulltext)
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
提供元機関・データベース日本原子力研究開発機構 : JOPSS:JAEA Originated Papers Searching System