一般注記アルカリけい酸塩,ほう酸塩,ほうけい酸塩ガラスにX線,電子線を照射していくつかの欠陥を作り,可視吸収スペクトル,ESRスペクトルならびにこれらの熱ブリーチング効果を調べた。106Red程度の照射量で生ずる欠陥は電子あるいは正孔による点欠陥である。本年度の研究で明らかになった点を以下に要約する。 1)アルカリけい酸塩,ほうけい酸塩ガラスに室温でX線照射した際に得られる欠陥で,可視吸収スペクトル,ESRスペクトルで同定されたものは主として正孔中心であった。 2)このうちで,ガラス構造との関係から,ほうけい酸ガラスでは,けい酸塩骨格構造に局在すると考えられる欠陥の熱的安定性が小さいことが分った。 3)室温でのX線の定常照射では観測されないアルカリイオンにトラップされた電子による欠陥がパルス電子線照射後マイクロ秒の領域で存在することが確認された。 4)この欠陥はCd(2)イオンの導入て完全に生成が抑制された。 5)更に,この電子中心の熱的安定性は小さく,400$^{\circ}C$ではマイクロ秒領域でも既に消滅することが確認された。 WasteGlassの走査型電子顕微鏡による観測からは次の点が明確になった。 WasteGlassP0500に対して18$^{\circ}C$および40$^{\circ}C$において硫酸溶液および硝酸溶液による溶出を行ない,走査型電子顕微鏡による研究を行なった。0.05N-硫酸溶液および0.1N-硝酸溶液を用いた場合,溶出時間1時間でガラスに微細なひび割れを生じたが酸濃度の大きい1-N硝酸溶液の場合15分の溶出時間でひび割れが発生した。このひび割れはガラスの溶出機構を知る上で重要なものであり,溶出過程に起こる酸可溶成分と水素イオンの交換によるイオン径の差によって生じる収縮力に起因していると考えられる。溶出過程で超音波を作用させると溶出反応は促進された。
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連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
提供元機関・データベース日本原子力研究開発機構 : JOPSS:JAEA Originated Papers Searching System