一般注記高速増殖炉の開発には長期間と多大の資金を必要とする。開発は臨界実験装置,実験炉,原型炉,実証炉のステップを経て実用炉の完成となるが,各ステップにおいて投入された資金と得られた成果の関係は必ずしも定量的に評価できるものではない。特に各年度毎に,予算と成果を対比させようとすると,成果の金額換算は一層困難なものとなる。しかし投入資金と成果の明確化はもしできれば有意義である。本報告書は上記のテーマに対しての一つの試算である。この試算において,原型炉,実証炉を経て成果が表われる間接的なものには,実験炉の寄与の分担割合という概念を導入した。一般技術水準の上昇,メーカーや他産業からの寄与についても同じ概念で考慮したことになる。また,実用炉は他の原理例へば核融合などによる発電方式が実用化するまで幾基も建設され,実験炉常陽の成果の利用も継続的に累積していくわけであるが,本試算では実用炉1基分への寄与のみを計算することとし,30$\sim$40年間稼働するという控え目の前提をおいている。結果は,年間の予算が燃料費も含め約60億円であるのに対して,成果の金額換算は約10倍の750億となった。運転・保守の経験や技術に関しては,自主開発の意義だとか新技術に対する間接波及効果など金額算出困難なものが多く,本試算では一部のみ計上した。また,研究開発成果に対する常陽の分担割合の数値については今後各方面の方々との議論を期待したい。なお,今後開発成果をカウンタブルなものと,本質的にアンカウンタブルなものとに分けて整理していく予定である。
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一次資料へのリンクURL/PNC-TN908-85-04.pdf (fulltext)
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
提供元機関・データベース日本原子力研究開発機構 : JOPSS:JAEA Originated Papers Searching System