一般注記セレン種の化学種別自動定量を目指して、ビスムチオールII担持樹脂カラムを組み入れたフローインジェクション分析システムを設計し、その性能を評価した。なお、検出には、硫化物によるメチレンブルーの還元反応に対するセレン(IV)の接触反応を利用した。構築した操作法は以下のとおりである:フローインジェクション分析システムは、内径0.5mmのPTFEチューブとダイフロン製のコネクターを用いて構成した。0.1M塩酸溶液とした試料の一定量をシステムに注入し、Se(IV)をビスムチオールII担持樹脂カラム(50×2mm)に吸着させる。0.1M塩酸でカラムを洗浄した後バルブを切り換え、0.01Mペニシラミン/0.1M塩酸溶液を用いてカラムに吸着しているSe(IV)を溶離し、sulfide-sulfite溶液及びメチレンブルー(MB)溶液と混合し、分光検出器により波長665nmにおけるMBの吸光度の減少をモニターする。Se(IV)とSe(VI)の両者を含む試料では、上記のようにして先ずSe(IV)のみを測定する。次いで、試料中のSe(VI)は塩酸溶液として煮沸、Se(IV)へ還元した後、全セレンの測定を行い、差からSe(VI)を算出する。本法のSe(IV)の定量範囲は20ng?900ngであり、検出限界は6.7ngである。また、注入試料体積を20mlとしたとき1時間あたり約10回の測定ができる。100ngSe(IV)を10回測定したときの相対標準偏差は1.8%、600ngSe(IV)を10回測定したときの相対標準偏差は0.8%であった。本測定法を地下水を用いた添加回収実験に適用したところ、定量的な回収率が得られ、再現性も良好であった。よって、本法は様々な試料中のセレンのスペシエーションへの適用が期待できる。
"その他の主な論文"[p.73]- 削除
平成13年度~平成15年度科学研究費補助金(基礎研究(B)(2))研究成果報告書
研究種目:基盤研究(B) 研究種目コード:310
研究課題番号:13440218
審査分野:一般 区分コード:03
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)