一般注記平成11年度~平成12年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書
研究種目:基盤研究(C) 研究種目コード:320
研究課題番号:11670081
審査分野:一般 区分コード:03
心筋細胞膜に存在するATP感受性K^+チャネルは、Kir6.2という膜二回貫通型のポア成分とABC蛋白の一種であるsulfonylurea受容体(SUR2A)が合わさり機能することが明らかとなっている。ジーンターゲティング法によって作成したKir6.2ノックアウトマウス(Kir6.2^<-/->)を用いその病態生理学的役割を検討した。麻酔下の野生型(Kir6.2^<+/+>)マウスで、長時間(45分)の冠動脈閉塞に先立ち短時間の虚血負荷を与えると心筋梗塞巣が減少するischemic preconditioningという現象が観察されたが、Kir6.2^<-/->マウスでは認められなかった。Kir6.2^<+/+>およびKir6.2^<-/->マウスの摘出灌流心において左室内圧を持続的に測定しながら灌流の短時間停止後再灌流を行い、心収縮能の回復度を検討した。Kir6.2^<-/->心ではKir6.2^<+/+>心に比べて虚血時の拡張期圧の上昇がより早期にまた高度に認められ、再灌流後の収縮機能の回復も悪かった。Kir6.2^<+/+>心で細胞膜ATP感受性K^+チャネルの特異的遮断薬であるHMR1098存在下に虚血・再灌流を行うとその収縮機能の回復は悪かったが、ミトコンドリアATP感受性K^+チャネルの特異的遮断薬とされる5-hydroxydecanoate存在下ではその悪化は軽微であった。Kir6.2^<+/+>心ではdiazoxideで収縮機能の回復が促進したが、その作用はHMR1098で消失し、5-hydroxydecanoateでは拮抗されなかった。このことは、diazoxideはミトコンドリアATP感受性K^+チャネルよりも細胞膜ATP感受性K^+チャネルを活性化して心収縮能改善作用を示したと考えられる。これらの実験結果より細胞膜ATP感受性K^+チャネルはischemic preconditioningの成立および虚血・再灌流の収縮機能...
別刷論文(P.41-44, 80- )削除
別刷論文:"Inhibitory effects of bepridil on the ultra-rapid delayed rectifier K+ current and hKv1.5 channel current; comparison with amiodarone and E-4031" European Journal of Pharmacology vol.430, no.203, 2001 p.149-157, published by Elsevier -- This article is posted with permission from Elsevier.
一次資料へのリンクURLhttps://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900040174/11670081.pdf
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)