タイトル(掲載誌)名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報 = Annual Report of Institute of Health and Nutrition, Nagoya University of Arts and Sciences
一般注記生命は、外界からエネルギー源(食物)を摂取し、水によってエントロピー(秩序・廃熱)を制御する熱機関(Engine:外部入力から目的出力を生み出す系)であり、さらに自己複製を繰り返しつつ、生かされるシステムです。常時、多くの体内組織を再生しながら生きて行き、また、世代を交替して行きます。進化の過程を振り返っても、「食」は生きることの原点です。クラゲのような原初的な生命からヒトまで、その基本は変わりません。最近の分子生物学から、現存するナメクジウオ(5億年前のハイコウエラの化石と類似しています)は、ヒトの遠い祖先だとわかってきました。まだ、はっきりした目も脳もありませんが、その先には環境に、より広く適応した多くの種が誕生し、脊索は硬い脊椎へと、神経核(神経回路が集まったもの)は大きな脳へと、少しずつ進化して来ました。爬虫類の脳に似た脳幹は生きるために必須な呼吸・循環系の制御を、その外側に進化した大脳辺縁系(古い皮質)は本能・情動を司ります。食欲中枢も大脳辺縁系の中心部に存在します。さらにその外側に、霊長類で特に進化した大脳新皮質(新しい皮質)が存在します(図1)。大脳新皮質は、感覚器(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)で捉えた外界の情報を、記憶や意識など脳の内部世界と照合し、意志決定・未来予測・行動判断などを行います。「感性」は大脳辺縁系に、「知性」は大脳新皮質に深く関係します。人間にとって大切な社会能力(Social Abilities: 協調性・共感性・思いやり等々)は、進化した脳の総合的な機能として考えられ、その獲得には学習と教育が大切であることが分かってきました。特に「食育」は、「知育」「体育」「徳育」に関するすべての出発点として関わって来ます。人との関係性を大切にする食育から、幸せな未来が始まると言っても、過言ではないかもしれません。
source:https://www.nuas.ac.jp/IHN/index.html
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