並列タイトル等Development of an Effect Model for the Pleasure Experienced during Application of Hot Compress to the Posterior Region of the Neck.
一般注記研究目的: 本研究の目的は、入院患者に対する後頚部温罨法の効果を明らかにし、指標間の関連について共: 分散構造分析を用いて効果モデルを開発することである。: 研究仮説: 効果検証において以下の6つの作業仮説をあげた。「生理学的指標」において、温罨法群はコン: トロール群よりも末梢皮膚温が高く(仮説1)、鼓膜温(仮説2)と唾液アミラーゼが低い(仮説3)。: 「主観的気持ちよさ」において、温罨法群はコントロール群よりも身体の感覚(仮説4)、気持ちよ: さ(仮説5)が高い。また、「生活しやすさ」は温罨法群がコントロール群よりも高い(仮説6)。: 方法: 入院患者60名(各群30名)を対象者とし、乱数表にて2群にランダムに割り付けた。温罨法群: は後頚部に蒸気温熱シートを,コントロール群は非温熱シート(共に花王株式会社提供)を10分間: 貼用し、連続3日間、15時~17時に実施した。測定指標は、「主観的気持ちよさ」「生活しやすさ」: についての質問紙と、「生理学的指標」としての手足の皮膚温、唾液アミラーゼ、鼓膜温の測定、そ: して食事、排泄、睡眠等の生活状況に関する聞き取りから調査した。分析ではt検定とχ2検定で2: 群の属性を比較し、独立2群のt検定とMann-Whitney検定で群間比較を、対応2群のt検定と: Wilcoxon検定で群内比較を、共分散構造分析で効果モデルを作成した。: 倫理的配慮として、患者に研究の倫理に関して紙面と口頭で説明し、同意書に署名を得た。研究は聖路加看護大学研究倫理審査委員会の承認(10-037)を受けて実施した。: 結果: 研究対象者は、脱落を除き温罨法群27名、コントロール群25名となった。2群の対象者特性に有意な差はなかった。対象者52名の年齢は68.7±13.8歳で、女性が37名(71%)、整形外科患者が44名(85%)を占めた。: 「生理学的指標」については、温罨法群の前後の群内比較で手掌皮膚温(p=.004)、足底皮膚温(p=.024)が上昇し、鼓膜温(t=2.25,p=.033)は低下した。コントロール群は、唾液アミラーゼが低下(p=.008)したが、4指標共に2群間には有意差が認められず、仮説1~3は支持されなかった。「主観的気持ちよさ」については、因子分析(主因子法)の後、尺度得点を算出し2群で比較した結果、『温罨法中の快(U=146.0,p=.000)』と『活力の向上(U=190.5,p=.005)』について温罨法群が有意に高く仮説4、5は支持された。「生活しやすさ」は、温罨法群は『明日も頑張ろう(U=257.5,p=.019)』という前向きな気持ちが有意に高く、また3日目の『主観的睡眠時間(t=2.82,p=.007)』が有意に長かったことから仮説6が支持された。: 以上を基に共分散構造分析で後頚部温罨法中の快がもたらす効果モデルを作成し、良い適合度が: 得られた(CFI=.972,RMSEA=.034)。後頚部温罨法中の快がもたらす効果については、以下の2つの: プロセスが明らかになった。(a)後頚部温罨法の『温罨法中の快』は『手足があたたかい』感じを: 与え、『主観的睡眠時間』を増加させることで『自覚症状を軽減』させる。また(b)後頚部温罨法: の『温罨法中の快』に続く『活力の向上』が『気持ちの安定』につながる。: 結論: 入院患者における後頚部温罨法の効果についての2群の比較で、後頚部温罨法は活力が向上するような気持ちよさであり、明日も頑張ろうという気持ちにつながること、主観的睡眠時間が増加することが明らかになった。共分散構造分析にて、後頚部温罨法の快が「自覚症状の緩和」と「気持ちの安定」をもたらす効果モデルが示され、後頚部温罨法の気持ちよさが入院患者の回復にとって意義があることが明らかになった。
2011
連携機関・データベース国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
提供元機関・データベース聖路加国際大学 : 聖路加国際大学学術情報リポジトリ