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【書評1】
外科医にとっては、切った皮膚の傷が治るのは当然のこととこれまで考えてきた。血流さえあり、きちんと傷が縫い合わされていれば治るのが当たり前で、縫って7日すれば抜糸を行うのが常識であった。本書はこんな外科医の常識に釘を刺す一冊である。
本書は、全章が形成外科医によって書かれている。創傷をいかに綺麗に治すか、創傷治療の専門家の形成外科医たちが書いた一冊である。本書の内容は、創傷の定義から始まり、急性創傷と慢性創傷の違い、創傷治癒の原理、創傷治療の考え方、縫合法、保存的治療など創傷治癒の基本を最初に述べ、続いて急性創傷治癒の実際として顔面外傷や手、四肢など頻度が高く、専門的知識を有する部位の外傷の診断と治療の実際、および熱傷の診断と治療を述べている。外科系医師が関係する手術創の治癒に関して多くのページが割かれ、トラブルの原因や対処を部位別に詳述してある。慢性創傷としては褥瘡や下腿潰瘍、その他の難治性潰瘍の診断と治療のエッセンスを述べてあるほか、再生医療の応用にも言及している。さらに肥厚性瘢痕、ケロイド、瘢痕拘縮などの診断と治療の実際も専門的に述べている。基礎的な創傷治癒の理論から臨床上の細かい工夫まで最新の知見が一冊に網羅されており、外科系医師は初期研修、後期研修の期間に一度は読むべき一冊といえる。
筆者は特にI章Bの「創傷治癒の原理と考え方」が興味深かった。表皮を構成する表皮角化細胞とメラノサイトは外胚葉由来で、真皮を構成する結合織と血管は中胚葉由来とまったく別物で、表皮は再生するが真皮結合織は再生されることはなく、修復されるだけであることが創傷治癒の基本であるとの記載である。すなわち、傷が治るということは真皮が修復された表面に表皮が再生されて被覆する(上皮化)ことにより達成される。真皮が修復された表面に表皮が再生された部分では正常皮膚と違う外観を呈し、これが“傷あと”であるとの記載は、創傷治療では当たり前のことであるが、外科を長くやってきた筆者にとっても新鮮な記載であった。
「たかが創傷、されど創傷」。外科医たるものは、外傷による創傷であれ、自らメスを入れた傷であれ、創傷が治る過程、創傷治癒が遅延する因子、さまざまな創傷部位の治癒過程の違いなどを知っておくことは必須である。本書はこれら疑問に十分答えてくれる一冊である。
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