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【書評】
30年の時を経て、さまざまな疾患で内視鏡外科が標準治療として認知されるようになった。その火付け役となったのが、腹腔鏡下胆嚢摘出術(ラパコレ)である。ラパコレは、あらゆる手術が低侵襲に向かうという現実をわれわれに突き付けた。そして、ラパコレを知った外科医の熱情が、内視鏡外科の適応を拡大させていったのである。こうしてラパコレは、消化器外科の専門医が習得すべき基本的な手術手技として定着した。しかし、ラパコレの合併症に伴う手術死亡はいまだに0.1%程度ある。日本内視鏡外科学会は安全な内視鏡外科の普及を目指し、技術認定制度を2004年に開始した。この制度が定着していく過程で、手技の定型化と教育の充実がすすめられ、外科医のある種の目標に内視鏡外科技術認定医が位置付けられるようになった。この背景のもと、本書に「技術認定を目指す標準手技」という魅力的な副題がつけられたのであろう。ラパコレには視野展開、剥離、血管処理などさまざまな内視鏡外科の基本手技が凝縮されている。また、炎症のない症例も多く、初心者にとって内視鏡外科の基本を身につけるのに絶好の手技である。
第I章に視野の展開とcritical view of safety(CVS)の出し方が詳述されている。内視鏡外科の安全性を担保するには、視野展開がきわめて重要である。術中の剥離の部位、方向、強弱、そして解剖の確認すなわちCVSにいたる手技は作法として定型化されている。本書では図と動画を多用して、これらすべての手順がわかりやすく丁寧に記され描出されている。もちろん炎症の程度、肥満度、血管/胆管の走行によって臨機応変な対応が求められるが、出血を回避して作法のとおり行えば、血管/胆管は自ずと露出され処理できる。そして最後に胆嚢の剥離であるが、ここでも定型的手技のみならず炎症の強いもの、胆嚢穿刺法やpigtail catheterなど胆嚢の剥離・回収に纏わる手技が紹介されている。
第II章には困難例の対応が網羅されている。困難例として代表的な嵌頓結石、高度胆嚢炎、Mirizzi症候群、胆嚢消化管漏の手術手技が次々紹介される。そして圧巻の第III章では「困難例を制すBailout手技」という非定型手技の詳述へと続く。この章では胆嚢頸部切開、fundus first technique、胆嚢亜全摘、胆嚢壁遺残の判断について実例をもとに再び動画で解説される。さらに第IV章のトラブルシューティングに続く。驚くことに術中出血、胆管損傷、虚血肝、胆汁漏出のすべてを実録トラブルシューティングとしてみることができる。
本書には、ラパコレのすべてが詳細な解説とともに動画を添えたかたちで詰まっているのである。実臨床にそのまま応用できるこのような労作は、本書をおいて世界中どこを探してもないに違いない。企画編集された森俊幸、梅澤昭子両先生に深甚なる敬意を表し、執筆者の方々のご尽力を心から称えたい。そして、ラパコレに携わるすべての外科医が、本書を手に「ラパコレを究める」ことを切望する。
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