書店で探す
目次
【書評】
本書は現在評者が運動器の健康・日本協会でご一緒させていただいている武藤芳照先生の出版100冊目(!)という,記念すべき書籍である.先生の幅広い活動を1冊に凝縮した内容は多岐にわたっており,総括するのは少々荷が重いところであるが,頑張ってみたい.
第1章では古代ギリシャ時代からの先人の英知を紹介しつつ,スポーツ医学について概観している.人にとって動くことは心身の健康につながる根源的な営みであり,スポーツ医学が何たるかを「運動器」や「整形外科」との関係とともに明らかにしている.第2章ではスポーツ医学における予防の重要性を述べている.ウサギ跳びによる膝障害,プールの飛び込みによる頚椎損傷,スポーツ活動中の飲水禁止などの誤った指導の是正に取り組んだことや,スポーツ傷害予防のための研究や組織作りに関わったことが記されている.第3章では著者のルーツである水泳界での取り組みや高地トレーニングにおける医事管理,そして体罰やハラスメントといったスポーツ界のひずみを是正する活動が紹介されている.
第4章は大きく視点がかわり,舞台医学への取り組みである.歌舞伎やバレエ,オペラといったステージパフォーマンスも「動く」活動であり,スポーツと共通する点が多い.しかしスポーツ医学のような研究に基づいた訓練や心身の障害に対する予防,パフォーマンスを最適化するトレーナー育成などの取り組みは限られており,伝統に過度に依存した非科学的習慣が残っている分野が多い.著者らは日本舞台医学研究会を立ち上げ,舞台医学の基盤作りに取り組んでいる.今後大きな発展が期待できる分野である.
第5章は子どもへのスポーツ医学の導入である.子どもの身体活動が二極化しており,一方は運動過多すなわちオーバーユースによるスポーツ傷害の問題,もう一方は運動不足による運動能力の低下に伴う怪我や成人以降の生活習慣病のリスクがあるが,以前は学校健診に運動器のチェックが入っていなかった.2005年から足掛け11年の活動により,運動器検診が学校健診に取り入れられることとなった.これには運動器の10年・日本委員会(現 運動器の健康・日本協会)を中心として著者らの活動が大きく寄与していた.第6章は高齢者へのスポーツ医学の応用である.高齢者における大きな問題の一つに,転倒とそれに伴う生活レベルの低下がある.著者らは2004年に多職種がかかわる日本転倒予防医学研究会(現 日本転倒予防学会)を設立し,転倒予防指導士の認定制度などを立ち上げた.さらに高齢者が体を動かす場としての高齢者総合福祉施設(ケアポート)を企画し,高齢者がスポーツ医学の恩恵を享受できる先進的な取り組みについて紹介している.第7章では著者のオリンピックや国際水泳連盟との関わり,日本整形外科スポーツ医学会や日本臨床スポーツ医学会での活動が記され,終章で人生は縁と運で大きく様変わりすることを関係者への感謝とともに述べている.
全国の図書館の所蔵
国立国会図書館以外の全国の図書館の所蔵状況を表示します。
所蔵のある図書館から取寄せることが可能かなど、資料の利用方法は、ご自身が利用されるお近くの図書館へご相談ください
北日本
北海道立図書館
紙- 請求記号:
- 780.19/SU
- 図書登録番号:
- 1112728397
青森県立図書館
紙- 請求記号:
- 780.19-ムトウ*ヨ
- 図書登録番号:
- 10218054456
宮城県図書館
紙- 請求記号:
- 780.19/ムヨ2021.6
- 図書登録番号:
- 1012028831
秋田県立図書館
紙- 請求記号:
- 780.1/ムス/
- 図書登録番号:
- 140237074
福島県立図書館
紙- 請求記号:
- 780.19-ムヨ216
- 図書登録番号:
- 305505703
書店で探す
出版書誌データベース
から購入できる書店を探す
『Books』は各出版社から提供された情報による出版業界のデータベースです。 現在入手可能な紙の本と電子書籍を検索することができます。
別の方法で探す
書誌情報
この資料の詳細や典拠(同じ主題の資料を指すキーワード、著者名)等を確認できます。
- 資料種別
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-22963-5
- タイトル
- タイトルよみ
- スポーツ イガク オ ココロザス キミタチ エ
- 著者・編者
- 武藤芳照 著
- 著者標目
- 著者 : 武藤, 芳照, 1950- ムトウ, ヨシテル, 1950- ( 00122181 )典拠
- 出版事項
- 出版年月日等
- 2021.6
- 出版年(W3CDTF)
- 2021
- 数量
- 283p