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【書評1】
南江堂から出版されている『臨床頭頸部癌学―系統的に頭頸部癌を学ぶために』が大幅にアップデートされ第2版として刊行された.本書は「系統的に頭頸部癌を理解できる」教科書として2016年に初版が発刊されたので6年目での改訂となる.この間に免疫チェックポイント阻害薬が一次標準治療となり,光免疫療法が開始になり,また放射線領域でも陽子線治療,重粒子線治療,そしてホウ素中性子補捉療法が保険収載された.また甲状腺癌を中心にゲノム医療の導入が始まっている.本書はアップデートされたこれらの情報も含めた包括的な教科書となっている.
各論について述べると,第Ⅳ章「フォローアップとチーム医療」というテーマで多職種によるチーム医療に焦点を当てているのも本書の特徴といえる.看護師のみならず,薬剤師,歯科,管理栄養士,言語聴覚士,ソーシャルワーカーの果たすべき役割について詳細に述べられている.外科領域でのほかの教科書にはない章立てでありたいへん参考になる.
本誌の読者の中で本書が特に役に立つと思われるのはやはり食道外科医であろう.頭頸部癌と食道癌が合併しやすいということについては多くの読者のよく知るところであると思われるが,特に食道外科医にとって下咽頭癌は非常になじみ深く,また基礎的知識がある程度必要とされる領域でもある.下咽頭癌と食道扁平上皮癌は親和性が高い一方で,大きく異なる治療方針も存在する.導入化学療法については食道癌治療とは目的がやや異なる(食道癌:予後の延長,頭頸部癌:臓器温存または予後の延長)が,多数の無作為化比較試験(RCT)が行われており,外科手術的には早期口腔癌に対する選択的頸部郭清術の優越性が大規模RCTで証明されている点や,再発転移頭頸部癌に対してcetuximabが有効である点も異なる.光免疫療法に関しても多くの食道外科医が興味をもっている分野であろう.また,頭頸部癌領域で関心がもたれている遺伝子変異についても知ることができる.
本書は一般外科医必読の本とはいえないが,食道外科を志す外科医はもっていて損はない教科書といえる.また,すでに食道外科医として働いている者にとってはたいへん勉強になる一冊である.
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