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【序文】
患者から「頭が痛い」という訴えを聴いたことはないだろうか.その際にはどのように患者をアセスメントしているだろう.頭痛の訴えを聴いて,バイタルサインである血圧,脈拍,呼吸,体温,SpO2の測定を行うのが常である.その後,何を考え行動するだろうか.医師へ報告し指示をもらうことも一つの方法かもしれない.しかし,次の方法はどうだろう.患者の訴えをよく聴き,頭痛とともに随伴している症状を把握する.それらの症状の性状や関連する動作・時間などを聴き出す.また看護師の五感を用いて,患者を診て,患者から発せられる音を聴き,患部を手で触り,その触っている手の感触と押す程度での反応を確認し,軽く叩いたときの音と,その反応を確認する.これら,いわゆるフィジカルアセスメントである.
このフィジカルアセスメントは,現場で行われるべき看護技術の一つである.しかし,フィジカルアセスメントは,看護師が最も修得に苦労する技術の一つとも言える.なぜなら,修得には多くの経験が必要である.例え看護師20年のキャリアであったとしても,このフィジカルアセスメントを使用した経験が少なければ,そのアセスメントは未熟である.逆に看護師年数が少なくても,日々の業務で,フィジカルアセスメントを駆使している看護師のアセスメントは,大きな信頼となりうる.さらにフィジカルアセスメントは,単に観察技術だけではなく,患者に触れることにより,「安心感」や「癒やし」を同時にもたらすことができる.看護は「手と目でみて(看)観察し見守る(護)」という「手」と「目」という漢字から成り立ち,患者の肌に触れることが大切であることを先人から伝えられてきた.フィジカルアセスメントを駆使する看護師は,より患者に近く,安心を与え,より異常の発見に長けた存在となりうると言える.
数年前,韓国ドラマの『宮廷女官チャングムの誓い』というドラマを観て驚いたことを今でも思い出す.主人公であるチャングムは宮廷の医官であり,患者の肌と脈拍に触れ,観察をしただけで病名を当てる.ドラマという脚色はあれども,当時の医官はこのような手法で患者の病態を把握し治療を行っていたことを知った.現代において,医療は進歩しており,神業的な医業を行わなくても,多くの検査により疾患や病態を判断できるようになった.また,電子カルテ化により画像診断も進歩している.看護師には無縁であった画像診断が,ますます身近なものとなり,さらに10年後の未来には今よりもさらに進歩していることは事実だろう.このような現代においても,フィジカルアセスメントがなお学び続けられているのは,患者を把握するための最初の技法はやはりフィジカルアセスメントであり,その判断で患者診療と治療の舵取りがなされている.これら先人から伝わるフィジカルアセスメントと,現在の画像診断の知識を看護師が学習することで,より効果的な看護アセスメントへと繋げられるのではと考えている.
本書は看護師に診断する能力をつけるわけではない.しかし,見えない疾患に対して,盲目的にケアを行うのではなく,しっかりとしたアセスメントと患者の病態予測の上で,看護ケアに繋げてほしいと考えている.そのために,本書では,患者の訴え,症状,疾患で索引が分けられている.それぞれの状況に応じてこの本を活用し,学習していただきたい.
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- 資料種別
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-22968-0
- タイトルよみ
- フィジカル アセスメント ト ガゾウ ノ ズカン
- 著者・編者
- 後藤順一 監修・編集金井信恭, 吉田拓生 編集
- 著者標目
- 監修者 : 後藤, 順一, 看護師 ゴトウ, ジュンイチ, カンゴシ ( 001252083 )典拠
- 出版事項
- 出版年月日等
- 2022.12
- 出版年(W3CDTF)
- 2022
- 数量
- 249p