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【書評】
肘関節外科の進歩は手外科の進歩と同様に近年著しい.本書は整形外科医が日常診療上もっとも遭遇する機会の多い肘関節の外傷と障害に関し,奥義の深い,ダイナミックでかつ繊細な注意が必要なところを,肘関節手術のエキスパートでありレジェンドでもある伊藤惠康先生独自のオリジナルな手法で解説した改訂第2版である.特に伊藤先生は日本整形外科学会および日本肘関節学会,日本スポーツ整形外科学会,日本手外科学会でご高名な先生であり,たとえば欧米で席巻している肘関節鏡視下手術に関しての記述は本書にはない.これはすでに伊藤先生が長年にわたって行ってきた手術法が,近年欧米で行われている手術法よりも絶対的な自信をもってよいアウトカムが得られると確信しているからであろう.手外科ならではの小皮切,最小侵襲手術をお極めになっている.プロ野球選手や成長期の野球肘,肘内側側副靱帯損傷に対するパイオニアとしてもたいへんご高名な先生である.いわゆる米国のビッグネームであるJobe法から伊藤法(ドッキング法)として世に広まったのもまだつい最近の話である.
1990年代から米国のFelix H Savoie 3rdやメイヨークリニックなどの諸グループがスポーツ障害や外傷後の関節拘縮に対する関節鏡手術の開発を行い,世界に向けて広めてきた.本邦では同時に伊藤先生らを中心にオープンでの小皮切・小侵襲手術が行われ,良好な成績が得られており,たとえば肘関節拘縮に対する治療はHarvard大学のJupiter教授の分類における「重症」のものは後者のほうが成績がよい.これは肘関節特有の機能解剖,すなわち一次的安定化要素である内側側副靱帯は関節外に存在するという解剖学的常識を熟知しているからこその伊藤先生の「私のアプローチ」であろう.
本書の真骨頂はタイトルのとおり,肘関節外科を真正面から取り扱い,きわめてその必要不可欠なことを論理的に説明されており,さらには具体的な臨床的手順とその注意点を列記してあることである.そして現行の臨床が陥りがちなピットフォールに警鐘を鳴らしている.また,本書では肘関節外科の実際に関することにとどまらず,機能解剖学と生理学から診断学,整復法,腱や神経まで含めた軟部組織の取り扱い方,保存的治療から手術的治療にいたるまでを研修医から上級医,専門医レベルにまでわかりやすく簡潔に,そして最新知識まで広く論述されている.近年この手の書籍の執筆は臨床経験と教育経験の豊かなベテランの外科医による分担執筆が多いが,本書の真骨頂は肘関節のエキスパートである伊藤先生ご自身の豊かな経験とサージカルエクスパティーズ,オリジナルな発想から生まれた独自の手術法をご本人自ら執筆されていることである.
本書を契機に,本邦でも肘関節外科のよりよい優れた治療だけでなく,肘関節外科全体の高い専門性への理解と患者へのよい医療が積み重ねられていくことを切望している.
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- 資料種別
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-23215-4
- タイトルよみ
- ヒジカンセツ ゲカ ノ ジッサイ
- 著者・編者
- 伊藤惠康 著
- 版
- 改訂第2版
- 著者標目
- 著者 : 伊藤, 恵康, 1943- イトウ, ヨシヤス, 1943- ( 01240157 )典拠
- 出版事項
- 出版年月日等
- 2023.2
- 出版年(W3CDTF)
- 2023