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【書評】
慢性下痢症という難解な課題に挑んだ書籍
診療ガイドラインの作成は大変な仕事である.診療ガイドラインは,日常診療において問題点や疑問点が生じた際に手引きとなるものである.したがって,まずはClinical Question(CQ)の作成から始めて,各項目について推奨の強さを決めなければならない.そのためには過去の研究,すなわち論文を検索して,吟味・評価しなければならない.とくに,治療薬を含む治療法に関しては,プラセボを用いた多数例の無作為比較試験が行われていればよいが,症例数が少なく比較対照試験が行われている臨床研究も少なくない.その場合にはメタ解析が行われるが,追加の臨床研究が行われることにより,その結果が異なってくることもある.このような背景のもと,2023年7月に初めて慢性下痢症に関するガイドラインが『便通異常症診療ガイドライン2023:慢性下痢症』として南江堂より発刊された.慢性の下痢そのものがuncommonな病態のため,エビデンスを得られる資料が少なく,大変な労力のもとに作成されている.本書にはCQが10件掲載されており,慢性下痢症の定義・分類に始まり,診断検査としては警告症状・徴候,有用な臨床検査(内視鏡以外)と内視鏡検査の意義,疫学としては有病率とQOL,病態生理としては生活習慣の関与,内科的治療としてはプロバイオティクスと止瀉薬について解説されている.また,すでに結論が明らかなもの,過去のガイドラインにおいて100%の合意が得られているものはBackground Question(BQ)として作成されており,慢性下痢症の診断基準と,慢性下痢症の診療に有用な身体診察の2件が取り上げられている.さらに,網羅的文献検索によって推奨と根拠水準が決定できないものはFuture Research Question(FRQ)として作成されており,本書では15件ある.本書の内容から,いかに慢性下痢症が未解決の分野であることがわかる.
本書では,慢性下痢症の診断基準を ①便形状の変化が軟便あるいは水様便(Bristol Stool Form Scale(BSFS)6 or 7)である,②その変化は4週間以上持続または反復している,③器質的疾患などほかの原因によるものが除外され,排便の25%以上が軟便あるいは水様便で慢性下痢を主症状とする場合,腹痛の有無は問わず「狭義」の慢性下痢と診断する,としている.このように慢性下痢症を定義した場合に,実臨床ではどの程度の頻度で慢性下痢症が存在しているのか,現時点では明らかでなく,今後の検討が待たれるところである.
臨床雑誌内科133巻3号(2024年3月号)より転載
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- 資料種別
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-21006-0
- タイトル
- タイトルよみ
- ベンツウ イジョウショウ シンリョウ ガイドライン
- 巻次・部編番号
- 2023慢性下痢症
- 著者・編者
- 日本消化管学会 編集
- 出版事項
- 出版年月日等
- 2023.7
- 出版年(W3CDTF)
- 2023