書店で探す
目次
【書評】
日本血液学会が総力をあげて編集している公式テキストを大きくアップデート
『血液専門医テキスト』は,「血液専門医研修カリキュラム」に則って,日本血液学会が総力をあげて編集している公式テキストである.日々の血液疾患診療におけるバイブルとして,また血液専門医を目指す若手医師にとっては必読のテキストとして活用されている.2011年に初版,2015年に第2版,2019年に第3版が刊行され,この度,4年ぶりに改訂が行われ待望の改訂第4版として出版された.
改訂第4版の内容は,造血システムと腫瘍化,止血機構,主要な徴候と検査値異常,臨床検査・画像診断,治療法,各種血液疾患の各論,形態学,利益相反などであるが,各項目で「到達目標」が掲げられており,読者の学習効果を高めるのに有益な構成になっている.また,各種血液疾患の病因・病態・疫学,症状・身体所見,診断・検査,治療と予後がコンパクトに過不足なくまとめられているのも魅力的である.
本書では,進歩の著しい血液領域の診療動向を反映して内容が大幅にアップデートされている.近年,ゲノムを中心とした分子レベルでの解析により,白血病や悪性リンパ腫などの各種病型に応じた原因遺伝子が解明されるとともに,非腫瘍性疾患の分子病態についての理解も大いに深まっている.これらの病態解析の進歩に呼応するように,多くの低分子化合物(FLT3阻害薬,BCL—2阻害薬,STAMP阻害薬のasciminib,腎性貧血に対するHIF—PH阻害薬など)や抗体薬剤(brentuximab vedotin,抗PD—1抗体,抗補体治療薬など)が開発され,治療法も変貌している.また,白血病や悪性リンパ腫への攻撃力を高める治療法であるキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor:CAR)遺伝子改変T細胞(CAR—T細胞)療法が開発され,良好な治療成績をあげているのも最近のトピックである.さらに,新型コロナウイルス感染症(COVID—19)に関連した凝固異常や血液疾患患者での重症化リスクが明らかになったのも特筆すべきことである.改訂第4版では,これらの新知見が新規項目として,もしくは各項目内にわかりやすく取り入れられている.巻末付録に「血液専門医試験 過去問―解答と解説」として,2017~2019,2021年度の試験から厳選した問題とその解説が掲載されているのも血液専門医を目指す医師にとっては有益である.
全国の図書館の所蔵
国立国会図書館以外の全国の図書館の所蔵状況を表示します。
所蔵のある図書館から取寄せることが可能かなど、資料の利用方法は、ご自身が利用されるお近くの図書館へご相談ください
関東
東京都立中央図書館
紙- 請求記号:
- 493.17-5082-2023
- 図書登録番号:
- 7117528402
四国
高知県立図書館
紙- 請求記号:
- 493.17-ケツ
- 図書登録番号:
- 1112041643
書店で探す
出版書誌データベース から購入できる書店を探す
『Books』は各出版社から提供された情報による出版業界のデータベースです。 現在入手可能な紙の本と電子書籍を検索することができます。
別の方法で探す