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【書評】
「効果的な胃内視鏡検診のための指南書:診療の延長からの脱却を目指す」
胃内視鏡検診は2016年に,国の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」の改訂により,対策型胃がん検診として実施が認められた.このたび,その実施基準ともいうべき『対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル』(2017年)の改訂第2版が出版された.検診の原則が踏まえられ,かつ実用性を追求した内容となっている.とくに胃内視鏡検診の関係者には一読を勧めたい.以下に,その作成経緯と今回の改訂内容を踏まえつつ所感を述べる.
前述の指針で現在推奨されているがん検診については,実施要領を記述した「がん検診マニュアル」が各関連学会から示されてきた.そのなかで,胃内視鏡検査は検診法としては侵襲性が高いため,その導入にあたり,ほかのがん検診と比べて,安全管理のための実施体制・水準の標準化が大きな課題であった.『胃内視鏡検診マニュアル』が2010年に出版されていたなかで,本書の初版が作成されたゆえんであり,検診実施主体である自治体はそれを参考にして胃内視鏡検診を実施すべきことが厚生労働省より明示された.さらに,自治体における精度管理の司令塔的役割のべき「胃内視鏡検診運営委員会(仮称)」の設置が重要事項として記述された.実際に導入に踏み切った自治体は現在なお約半数に留まるが,導入した自治体においてさえ,運用や精度管理における課題,地域間格差などの問題が指摘されている.そこで改訂第2版は,そのような問題点の克服を目的に作成された.
上記のような問題点は,わが国ではがん検診がその目的や原則,運用方法などに関して,診療上の診断検査と混同されたまま実施されていることに起因している.とりわけ検診のスクリーニングに用いられる検査法が診断検査と同一の場合,両者は混同されがちである.胃がん検診の目的は胃がん死亡率の減少であり,スクリーニングにおける内視鏡検査の対象病変は胃がんである.一方で,診断検査としての胃内視鏡検査ではすべての病変を対象とし,それぞれの治療の要否や治療法に関する判断を行う.両者の混同の結果,たとえば胃がん以外の疾患疑いで,検診としては目的の不明な同時生検が潜在的に行われ,対象者の約30%に実施された事例も確認されている.こうした混同に基づく検診の実施・運用は胃がん死亡リスクの減少につながらないばかりか,多くの不必要な診断・治療を誘発し,不利益の増大を惹起する.
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- 資料種別
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-21482-2
- タイトルよみ
- タイサクガタ ケンシン ノ タメノ イ ナイシキョウ ケンシン マニュアル
- 著者・編者
- 日本消化器がん検診学会対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル改訂版編集委員会 編集
- 版
- 2024 [版]改訂第2版
- 著者標目
- 編者 : 日本消化器がん検診学会 ニホン ショウカキ ガン ケンシン ガッカイ ( 01043233 )典拠
- 出版事項
- 出版年月日等
- 2024.6
- 出版年(W3CDTF)
- 2024