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【改訂第8版の序】
21 世紀も4 半世紀が過ぎようとしている.この間の医学の進展は目覚ましいものがある.一つは,医学の究極の目的であるヒトの病気によって引き起こされる構造と機能の変化,病態の分子的理解が進んだことであり,もう一つは,この進歩に対応して,病態を制御するモダリティーとして,これまでの低分子化学物質に加え,抗体などの蛋白医薬,RNA,DNA また細胞医薬などが続々と登場したことである.COVID-19 に対するmRNA ワクチンの有効性はまだ記憶に新しい.これらの知見が明らかにしたことは,多くの病態は,おのおのの疾患の場における生体内情報伝達の異常によって生じること,薬物の治療効果はこれを矯正することによってなされているということである.これは,まさに「NEW 薬理学」の初版以来の基本方針である「多くの薬の標的は疾病により何らかの異変をきたした生体内情報伝達であり,薬物治療の原理の理解には情報伝達の細胞生物学の視点が不可欠」に一致,裏付けるものである.今回の改訂は,「薬理学は,薬と生体との相互作用を解析して,ヒトの治療学の基礎となる学問である」という認識に基づき,上記の進歩を大きく取り入れ,これまでの薬理学の体系と合わせた包括的な視点とともに今後の医学とさまざまなモダリティーの進展への展望をも与えることを目的とした.
①第Ⅰ章総論において,生物医薬を新たな項目として加え,抗体医薬,核酸医薬,細胞医薬の原理,技術,現況を概説した.
②第Ⅱ章 生体内情報伝達機構,第Ⅲ章 チャネルとトランスポーター,第Ⅳ章 生理活性物質は本書の特徴とすべき部分である.各章で内容をアップデートするとともに,オレキシン,PAMPs/DAMPs 自然免疫を新たな項目として加えた.
③治療学につながる各論では,分子標的薬や免疫作用薬を中心に,薬物作用を,明らかになりつつある病態の分子メカニズムと関連づけることを心がけた.このような薬物の分子レベルでの臨床関連性は今後ますます明らかになっていくものと思われ,改訂のたびにアップデートする予定である.
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- 資料種別
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-23377-9
- タイトル
- タイトルよみ
- ニュー ヤクリガク
- 著者・編者
- 田中千賀子, 加藤隆一, 成宮周 編集
- 版
- 改訂第8版
- 著者標目
- 編者 : 田中, 千賀子, 1931- タナカ, チカコ, 1931- ( 00184600 )典拠編者 : 加藤, 隆一, 1930- カトウ, リュウイチ, 1930- ( 00027966 )典拠
- 出版事項
- 出版年月日等
- 2025.3
- 出版年(W3CDTF)
- 2025