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【書評】
「抗悪性腫瘍薬で学ぶ臨床薬理学のエッセンス」
近年,がん薬物療法の治療成績が向上するなかで,最適な治療を提供するために臨床薬理学の重要性はますます高まっている.臨床薬理学とは,薬物の作用機序,薬物動態や薬力学,そのほかの特性に関する科学的根拠に基づき,薬物療法をより合理的かつ効果的に行うための理論と方法を探究する学問である.たとえば,各薬剤の薬物動態(Absorption, Distribution, Metabolism, Excretion:ADME)や薬力学を理解することで,高齢者や腎機能障害など特別な背景をもつ患者への対応が可能となり,薬物相互作用も正確に把握できるようになる.ゲノム薬理学に精通すれば,分子標的治療薬の選択や,患者間における薬物応答の違いを科学的に捉えることができる.耐性機序に関する知識は,薬剤変更時の判断材料として有用である.日常診療で出会う患者の多くは教科書どおりにはいかないが,そうした場面においても臨床薬理学は科学的なアプローチの道筋を示してくれる.
本書は,こうした臨床薬理学のエッセンスを凝縮した,実践的かつ教育的価値の高い一冊である.総論では,がん薬物療法の基本的な考え方から始まり,薬物動態,薬力学,薬理ゲノム学,さらには高齢者や臓器障害時の対応など,特定の臓器や疾患にとらわれない臓器横断的な視点から明快に解説している.各論では,各抗悪性腫瘍薬の作用機序や耐性機序,薬物動態,特別な患者集団(special population)への配慮,薬物相互作用など,臨床に直結する有用な情報が簡潔かつ的確に整理されている.研究段階の情報であっても,専門家の見解を交えながら果敢に取り入れており,添付文書やインタビューフォームの情報を単に寄せ集めたものではなく,臨床現場で活きる知見として再構成されている点は特筆に値する.序文に記された「添付文書やインタビューフォームには基本的に事実のみが記載されているが,その書き方が誤解を招きかねないこともある」という指摘は,がん薬物療法の臨床に携わる者にとって深く共感できるものであり,本書を単なるリファレンスに留めないという編者および著者らの矜持が伝わってくる.
なお,序文には「普段の診療で気軽に利用していただきたいので,白衣のポケットに入るサイズ」と紹介されている.たしかに,診療の合間に参照できるコンパクトさは本書の魅力の一つである.一方で,その内容は非常に充実しており,時間をかけてじっくりと読み込むという使い方も十分に価値がある.がん薬物療法における臨床薬理学の本当の価値にぜひ気づいて欲しい.
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- 資料種別
- 図書
- ISBN
- 978-4-524-21083-1
- タイトルよみ
- コウ アクセイ シュヨウヤク コンサルト ブック
- 著者・編者
- 南博信 編集
- 版
- 改訂第3版
- 出版事項
- 出版年月日等
- 2025.4
- 出版年(W3CDTF)
- 2025