並列タイトル等Adiponectin knockout increases mandibular bone mineral density due to reduced bone metabolism
一般注記目的:アディポネクチンは脂肪から分泌されて血中に存在するホルモンであるが, その多寡と作用時間が下顎骨に及ぼす影響は不明である.そこで,本研究では持続的なアディポネクチンの欠如が下顎骨に及ぼす影響を調べた.方法:10,40 週齢の雄マウスのワイルドタイプ(WT)・アディポネクチンノックアウト(KO)を各々5 匹用い,テトラサイクリンとカルセインによる骨二重標識を行った. DXA により下顎骨体部骨密度を,pQCT を用いて第一・二臼歯間断面の海綿骨と下顎下縁皮質骨の骨密度を測定した.40 週齡では,pQCT 測定部の非脱灰薄切切片を作成し,海綿骨部と皮質骨部の骨形態計測を行った.統計解析は骨密度では二元配置分散分析を行い,多重比較にはBone ferroni 解析を用い,さらに各週齢の群間差の解析はunpaired t検定を用いた.骨形態計測の結果はF 検定の後にunpaired t 検定またはMann-Whitney’s U 検定を行った.結果:下顎臼歯骨体部骨密度,下顎第一・二臼歯間の海綿骨と皮質骨の骨密度は40 週齢のKO 群で有意に高かった. しかし,下顎骨面積では群間差を認めなかった。蛍光顕微鏡所見では,骨新生部である二重標識部は海綿骨,皮質骨ともにKO 群では明らかに少なかった.海綿骨の骨形態計測では骨量に群間差を認めなかったが,類骨量,骨芽細胞数,骨芽細胞面,補正石灰化速度,骨形成速度,骨吸収速度はKO 群で有意に低かった.しかし,破骨細胞数,骨吸収面には群間差を認めなった.皮質骨の骨形態計測では,骨量はKO 群で有意に多かった.皮質骨の骨内膜面部では骨芽細胞数,二重標識幅,補正石灰化速度,骨形成速度,骨吸収速度がKO群で有意に低かった. また,破骨細胞数はKO 群で有意に多かったが骨吸収面では群間差を認めなかった.考察:KO 群での海綿骨骨密度の増加は,骨芽細胞数と骨形成速度の低下,骨吸収速度の低下を認めたことから,骨新生の低下と低骨代謝回転型の発現によって,石灰化が進行した成熟骨の割合が増加したためと考える.KO 群での皮質骨骨密度増加の理由は,時間の経過に伴う骨形成速度の低下に由来した低骨代謝回転型の発現によって増加した骨量を保ちつつ,以前からある骨の石灰化が進行した結果,成熟骨の割合が増加したためと考える.
2015
identifier:甲第179号
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受理日(W3CDTF)2016-11-02T12:02:18+09:00
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