一般注記子どもの健全な成長のため,保育者(幼稚園教諭や保育士)のメンタルヘルスは重要である。しかし,保育者の勤務環境は,年々厳しくなっている。特に若手保育者は,多くの困難を感じ易いため,他の年代よりも心の疲労度が高く,バーンアウトに陥る危険性が高いことが報告されている。先行研究において,若手保育者も含めた保育者のストレスや困難感が多数指摘されている一方で,そうした困難感への具体的な対処や支援に関する実践報告は少ない。本研究の目的は,様々な困難を感じ易い若手保育者を対象とし,その職務上の困難感の要因を抽出し,それに基づき,若手保育者のメンタルヘルス対策に貢献するための心理教育プログラムを作成し,実施し,及び評価することである。そこで,以下のような観点から研究を進めた。第1章では,若手保育者を含む保育者の困難感やストレス,メンタルヘルスに関して国内外の先行研究を概観し,その動向を把握すると共に,困難感やストレスへの対処法,メンタルヘルスを保持・増進させるための方法を探った。第2章では,第1章で示された若手保育者の状況に関して,実際に若手保育者はどのような困難感を抱えているのか,その具体的な内容を明らかにするためにインタビュー調査等による質的検討を行った。第3章では,第1章及び第2章で明らかになった若手保育者の困難感やストレス,メンタルヘルスの現状に関して,保育者を対象とした質問紙調査の実施による量的検証を行った。第4章では,第1~3章の結果を踏まえて,若手保育者の心理社会的ストレスを予防するための心理教育プログラムを新たに作成し,実施し,評価を行った。第5章では,一連の研究結果について総合的考察を行うと共に,本研究の課題と今後の研究の展望について明らかにした。
コレクション(個別)国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
受理日(W3CDTF)2017-03-02T13:20:07+09:00
連携機関・データベース国立国会図書館 : 国立国会図書館デジタルコレクション