並列タイトル等In vivo Measurements of Muscle Activities of Human Forearm Using Diffuse Optical Tomography
一般注記骨格筋は安静時に比べて酸素供給量が数十倍,代謝率百倍以上と急激に変化することが可能という特異性を持つため,多くの運動生理学研究が行われてきた.従来の筋電計測に加え,近年,近赤外分光法(near-infrared spectroscopy: NIRS)を応用した装置によって,筋活動に伴う筋組織内の血液量と血液酸素化状態の変化を非侵襲で計測できるようになり,研究は進展した.しかし,筋電計や連続光を用いたNIRS 装置では表層筋しか計測できず,深層筋の活動を非侵襲で計測することは困難であった.ピコ秒の極短パルス光源と高速光検出器からなる時間分解計測装置を用いた拡散光トモグラフィ(diffuse optical tomography: DOT)は,深層筋の血液量と酸素化状態の変化に関する断層画像(DOT 画像)を再構成することが可能である.本研究は,運動による深層筋内の血液量と酸素化状態の変化に関するDOT 画像を得,得られた画像から筋活動を定量的に評価するための解析法の開発とその妥当性の検証を行うことを目的とする.この目的に沿って,健常な成人の前腕を対象として,いくつかの異なる運動負荷時において,時間分解計測装置を用いてin vivo でDOT 計測を行い,筋活動に伴う血液量と酸素化度状態の変化に関するDOT 画像を得た.また,参考データとして筋電計測なども同時に行った.対象とした前腕の核磁気共鳴(MR)画像から前腕に含まれる各筋肉のセグメンテーションを行い,DOT 画像とMR 画像を重ね合わせて各筋肉の血液量と酸素化状態の変化を求める解析法を開発することができた.運動負荷としては,深層筋全体により生み出される力を用いるとされるハンドグリップ運動,屈筋を主に使うとされる手首の屈曲運動,伸筋を主に使うとされる手首の伸展運動を採用した.安静時とこれらの運動時にDOT 計測を行って,各筋肉の血液量と酸素化状態の変化を求め,各筋肉で活動の有無を判定し,実際に活動している筋肉を定量的に特定した.その結果,従来のNIRS 計測結果で最も一般的と言われている筋活動に伴う血液量と酸素化状態の変化パターンがDOT 計測結果でも最も多く観察され,開発した方法を実験的に検証することができた.
2014
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受理日(W3CDTF)2018-01-02T17:18:43+09:00
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