並列タイトル等Study on generating tool swept volumes for machining simulation with errors of multi-axis machine tools
一般注記近年,製造業の競争力を高めるために,より高機能な部品を低コストに生産することの重要性は,ますます高くなってきている.生産加工システムに対する要求としては,航空機のインペラに代表される複雑な形状を加工すること,一度の段取りによる加工の効率化を図ることが挙げられる.これを実現できる多軸加工が注目されているが,多軸工作機械は並進駆動軸と回転駆動軸を組み合わせた複雑な軸構成を持ち加工運動が複雑となるため,誤差が生じやすいという問題がある.従って,複雑な加工運動を確認し,加工運動の結果である加工形状や加工誤差を検証する加工シミュレーションシステムの確立は,生産システムの発展において非常に重要である.従来の加工シミュレーション技術は,複雑な工具運動を検証し,工作機械や工具との干渉判定を行うことに重点が置かれてきた.一方,加工形状を導出する方法として,微小直方体(ボクセル)で素材や空間を分割し,加工運動によって工具が通過した部分を導出し,加工形状を得る方法が主流であるが,現状のコンピュータのメモリ使用量かつ実用的な計算時間で,ある程度の大きさの部品に対する微小な加工誤差までは表現できず,新しい方法論が求められている.形状モデルやコンピュータグラフィクスの分野では,物体が運動した掃引形状を定義する研究が行われており,CAD (Computer Aided Design)システムに実装されている.提案されている基本原理は,物体表面上における法線ベクトルと速度ベクトルが直交する領域が掃引体を形成する,という掃引条件に基づく方法である.この方法は,前述の方法とは異なり,形状を表す数式に基づくため,高精度かつ高速に加工形状を導出できる可能性がある.これに基づき,工具掃引形状の導出に関する研究が行われてきたが,CAD システムを含め,工具の自己公差運動では工具掃引形状を導出できないという問題があった.この問題に対し,円柱形状の工具を対象として工具掃引条件式を解く方法が提案されているが,多軸加工で一般的な工具形状である円錐,トーラスといった工具形状を対象とした工具掃引条件式の解法は確立されていないという問題が残されている.以上より,本研究では,多軸加工で一般的な工具形状に対し,工具掃引条件式を解析的に解き,その解に基づいて工具掃引体を導出する方法を確立する.これにより,工具の自己交差運動を含む多軸加工に対応した加工シミュレーションシステムを実現できる.このシミュレーションシステムは,高精度な加工面を導出することができるため,従来提案されている工作機械の誤差モデルを用いることで,ある加工運動に対する加工誤差を導出すること,また,さまざまな加工運動を高速・高精度に検証することで,工程設計へ応用することが可能となる.
(主査) 准教授 田中 文基, 教授 小野里 雅彦, 教授 金井 理
情報科学研究科(システム情報科学専攻)
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受理日(W3CDTF)2018-07-03T21:49:10+09:00
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