一般注記【緒言】胆道癌では外科切除が唯一の根治的治療であるが, その切除成績は未だ十分ではなく術後に高率に再発を認める. 再発胆道癌の予後は一般的に不良であり, 再発巣に対する外科切除の適応や意義は不明である. 本研究の目的は, 再発胆道癌に対する外科切除の適応と意義を明らかにすることである. 【対象と方法】1992年10月から2013年12月までに当科で再発胆道癌に対して外科切除を実施した22例(肝外胆管癌7例, 胆嚢癌7例, 肝内胆管癌4例, 十二指腸乳頭部癌[以下, 乳頭部癌]4例)を対象とした. 原則的に, 再発巣が孤立性であり, 癌遺残のない外科切除(R0切除)が可能と判断された全身状態が良好な症例を手術適応とした. 全例において, 少なくとも術前または術後に化学療法が実施されていた. 再発巣外科切除後の経過観察期間の中央値は78か月であった. 【結果】術後合併症は22例中13例(59%)で発生したが, 術後在院死亡は認められなかった. R0切除は14例(64%)で可能であった. 全22例の再発巣外科切除後の5年, 10年生存率は各々32%, 22%, 生存期間中央値は21か月であった. 原発部位別に再発巣外科切除後の遠隔成績をみると, 乳頭部癌, 肝内胆管癌, 胆嚢癌の5年生存率は各々75%, 38%, 29%, 生存期間中央値は各々130か月, 37か月, 46か月であった. 肝外胆管癌に関しては, 5年経過観察例は存在せず, 生存期間中央値は15か月であった(P=0.176). 再発部位別に再発巣外科切除後の遠隔成績をみると, 肝10例, 局所6例, リンパ節5例の5年生存率は各々40%, 0%, 40%, 生存期間の中央値は15か月, 14か月, 46か月であった(P=0.273). 右副腎再発の1例(原発巣:乳頭部癌)は再発巣外科切除後14か月目に原病死した. リンパ節再発に対して再切除を実施した症例はいずれも胆嚢癌であった. 22例中4例(乳頭部癌肝再発2例, 肝内胆管癌肝再発1例, 胆嚢癌リンパ節再発1例)が再発巣外科切除後に5年以上生存した. 肝内胆管癌肝再発例を除く3例では初回切除後2年以降に再発巣外科切除が実施されていた. 【結論】胆道癌に対する再発巣外科切除は安全に実施が可能であり, 再発胆道癌に対する集学的治療の選択肢の一つになり得る. その中でも, 肝内胆管癌や十二指腸乳頭部癌の孤立性肝転移再発例, 胆嚢癌の孤立性リンパ節再発例, 原発巣外科切除から再発巣外科切除までの期間が2年以上である症例は, 再発巣外科切除の良い候補となる可能性がある.
学位の種類: 博士(医学). 報告番号: 甲第4413号. 学位記番号: 新大院博(医)甲第812号. 学位授与年月日: 平成30年3月23日
新潟医学会雑誌. 2017. 131(1), 33-41.
新大院博(医)甲第812号
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受理日(W3CDTF)2018-08-03T23:36:01+09:00
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