並列タイトル等Relationship of oral frailty to sarcopenia and metabolic syndrome in community-dwelling elderly
一般注記北海道歯学雑誌 38 : 234-242, 2018. 共著 : 高橋 収, 本多 丘人, 兼平 孝, 竹原 順次, 今村 理子, 澤飯 順子, 菊田 有美, 花田 優里子, 齊藤 麻美, 河口 明人
高齢者におけるオーラルフレイル(OF)に対する早期スクリーニングを可能にする指標を考案し,OF分布の検討及びサルコペニアおよびメタボリック・シンドロームとの関連性を検討した.喜茂別町の65歳以上高齢者111名を対象とし,Eichner分類B4以上(61.0%),RSST3回未満(64.4%)かつ口腔湿潤度29.0未満(50.5%)の者をOFとした時,OF群は24名(21.6%)で,非OF群87名と比較して高齢だったが,性別には差はなかった.OF群では上顎残存歯数が有意に少なく(P <.05),上・下顎FD頻度が高く(P <.05),自覚症状として「固いものが食べにくい」という回答に差があった(P <.05).OF群とNon-OF群との身体組成(BIA法)の比較では,除脂肪量に差はなかったが,体脂肪量をはじめ,肥満指標としてのBMI,腹部周囲径,内臓脂肪面積,ウエストヒップ比がOF群で有意に高かった.さらに血清生化学指標においても,メタボリック・シンドロームの特徴的な代謝病態であるトリグリセリド高値,HDL-C低値の脂質異常を示し,インスリン抵抗性の指標としてのHOMA-Rが有意に高かった.一方,高齢者の筋力減弱症としてのサルコペニア(筋量減少,筋力低下,遂行機能低下)の指標である,筋量指標としての四肢骨格筋量指標,筋力の指標としての握力,および遂行機能の評価項目としての歩行速度そのものには両群では差はなかったが,サルコペニア該当数は7名(29.2%)でOF群に有意に多かった(P <.05).またOFの診断にこだわらず,自覚症状の「固いもの困難」群とそれ以外との検討においても,固いものが困難と答えた群は,身体遂行機能としての歩行速度が有意に遅く,サルコペニアの傾向にあることが明らかとなった.本研究では,咬合・咀嚼機能としてのEichner分類,嚥下機能低下,口腔湿潤度低下を診断項目としたOFに該当する高齢者は,同時にメタボリック・シンドロームおよびサルコペニアの傾向をもつことを示し,OFが全身的な病態と関連していることを明らかにするとともに,本研究のOFの診断方法と診断基準の妥当性が示唆された.
(主査) 教授 山崎 裕, 教授 北川 善政, 准教授 兼平 孝
歯学研究科(口腔医学専攻)
コレクション(個別)国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
受理日(W3CDTF)2019-06-03T12:31:31+09:00
連携機関・データベース国立国会図書館 : 国立国会図書館デジタルコレクション