並列タイトル等Study on degradation mechanism of Polyethylene for hot water after long-term acceleration test
一般注記温水用ポリエチレン(PE-RT)について長期耐久試験を行い、劣化メカニズムを考察した。耐久試験は98℃の35000時間まで大気と温水での環境下で行い、また、12000時間までの温水浸漬試験を試験温度(60、90、110℃)を変化させて行い、更に7000時間までの空気加圧と銅イオン添加による劣化加速試験方法を行った。 98℃の温水耐久浸漬試験の結果から、温水では、添加剤が溶出することで、耐酸化性能低下が速いが、溶存酸素濃度が低いことでラジカル経由の自動酸化反応の進行が遅いことがわかった。実際に酸化劣化が開始するのは35000時間後であった。破断伸びの低下が特徴的で、不均一な結晶化が生じて、結晶性が局所的に高い部分がミクロンレベルで生じることを見出した。この局所的に結晶性が高い部分の界面にひずみや欠陥が生まれることで伸びの低下につながったと推察された。この結晶化による伸び低下は、98℃以上の高温で生じ、試験での熱履歴で結晶成分が増加して結晶化しているだけでなく、アモルファス成分も増加して相分離している様子がパルスNMR分析よりわかった。 空気加圧(0.4、0.7MPa)と銅イオンの添加(Cu2+で3000 wtppm)による温水浸漬試験では、耐酸化性能の低下や酸化官能基の生成を10倍以上加速できることがわかった。空気加圧は均一な酸化であったが銅イオン添加では、端部な構造上の弱い部分から局所的に進行することがわかった。今回検討した分析評価の手法や加速試験方法により、温水用のポリエチレン管について、分子構造からの劣化度合いの評価や耐久性の予測が有効にできることが期待され、今後の長耐久性を有する樹脂管開発に有効な結果が得られたと考える。
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受理日(W3CDTF)2020-10-06T21:18:06+09:00
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