並列タイトル等A study on detecting abnormal movements of stroke patients
一般注記厚生労働省発表の「平成26年度患者調査の概況」1 )によると,脳血管疾患の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は,117万9,000人で非常に高い水準にある.また,そのうちの多くは上肢麻痺を伴い,上肢障害は日常生活に大幅な制限をもたらすため積極的なリハビリテーションは重要になる.平成27年度の国民医療費は42兆3,644億円で,そのうち脳血管疾患の医療費は,1兆7,821億円と増加しており2 ),今後も増え続けることが予測される.経済的で効率的なリハビリテーションを行なうことが必要とされる. 厚生労働省発表の「平成26年度患者調査の概況」1 )によると,脳血管疾患の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は,117万9,000人で非常に高い水準にある.また,そのうちの多くは上肢麻痺を伴い,上肢障害は日常生活に大幅な制限をもたらすため積極的なリハビリテーションは重要になる.平成27年度の国民医療費は42兆3,644億円で,そのうち脳血管疾患の医療費は,1兆7,821億円と増加しており2 ),今後も増え続けることが予測される.経済的で効率的なリハビリテーションを行なうことが必要とされる. しかし現在の脳卒中リハビリテーションにおける保健医療体制は,膨張する医療費を抑制することを狙い,漫然とリハビリを続けるのではなく,標準的な治療期間として標準的算定日数を発症日から180日としている.平成20年4月からは,治療を継続することにより,状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には,標準的算定日数を超えても標準的算定日数内と同様の算定できるが,治療を継続された場合も1日6単位(2時間)までと制限があり回復に必要な集中的なリハビリテーションを行える状況にはない9).現在の保険診療体制では回復が見込めるにもかかわらず,対応できない事例が多く存在することが予想される.今後の課題としては,いかに集中的で,効率的なリハビリテーションを行うことが重要になる.そして退院後の施設や在宅において行われる維持期のリハビリテーションにおいても,集中的な訓練を行うことができる体制づくりが重要になる.このような状況にこたえるために近年,ロボット技術,バーチャルリアリティ(以下,VR)技術を応用した上肢リハビリテーション支援システム(以下,上肢リハ支援システム)が開発されている10-13).上肢リハビリテーション技術は,十分な安全性や信頼性が確保できれば,ロボット技術を用いて,訓練の自動化および半自動化を図り,治療訓練の補助として集中的な訓練を実現することが可能である.しかし現在,開発されている上肢リハビリテーション支援システムは非常に高価であり,前述した医療費増大の解決には結びつかない現状がある.脳卒中ガイドライン201514)では国内での実践事例は少ない状態と記載されている.これは経済的なものが最も大きな要因と考えられ,今後は安価なシステムの開発が求められる. また維持期などでセラピストのいない状況(在宅及び施設など)の自主的な訓練で,安全性,効率性の高いものにするには,上肢リハ支援システムが訓練中の対象者の状況把握を十分に行なえることが重要になる.多くの上肢リハ支援システムは,評価システムとしての側面も有しており15)16),脳卒中患者の訓練動作(リーチ動作)における異常性の検出や,重症度の判定,回復レベルの評価などが可能である.上肢機能に関する評価情報をデジタルデータ化することは,telerehabilitation17)18)など遠隔地においての対象者把握にも役立ち,在宅や施設等の様々なシーンの訓練を実現する.また脳卒中の運動障害に対するフィードバック訓練の効果は様々な研究で実証されており19-21),脳卒中患者の訓練動作中の異常性を評価できるシステムを組み込むことで,ロボット訓練におけるフィードバックが可能となり,訓練効果を向上させることにもつながる.しかし現在の上肢リハ支援システムによる測定は制限があり,特に比較的に安価な端点型End-effector Type)では,操作部である把持部の軌道などの測定でとどまる.把持型で手部以外の評価を行なうためには新たにモーションセンサを組み込むことが必要になる.またモーションセンサを用いれば上肢リハ支援システム以外のVR技術を用いた仮想上肢訓練や通常の作業療法で行なわれている机上訓練などの評価にも活用することができる。
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受理日(W3CDTF)2021-07-05T22:24:43+09:00
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