並列タイトル等A Study for Improving Motivation of Knowledge-sharing Utilizing Gamification and Virtual Agent techniques
一般注記type:Thesis
知識共有は,人と人がコミュニケーションする上での大きな側面の一つである.インターネット技術の進歩によって,情報共有は容易になり,パソコンだけではなく,スマートフォンやスマートウォッチを用いて,人々はSNSを利用して,いつでもどこでも簡単に知識共有できる.そのため,SNSを知識共有のツールとして,人種と文化を超えたグローバルで大規模な知識共有が実現できると考えられる.しかし,大規模な知識共有を行う際,技術のバリア(場所の制限,設備の制限,通信速度の制限など)が解決しつつであっても,信頼不足,交流不足など人間行為により起こるバリアが依然存在し,知識共有はうまく進められない場合がある.本論文では,「ロングテール問題」より起こる知識共有バリア:知識提供者に対するフィードバック不足と,Q&Aウェブサイトを使用する時のバリア:ユーザ間の信頼性不足と訊き方の不適切に着目する. まず,第2章では,インターネット環境でのロングテール問題と解決手法を述べる.インターネット環境でのロングテール問題とは,8割ぐらいのウェブページ閲覧数は, 閲覧数ランキング上位の2割ぐらいのテーマやキーワードによって閲覧されている,つまり,大規模な知識共有の場合,8割ぐらいの知識を見る人はとても少ない.知識提供者がどんな良い知識を提供しても,人気がないテーマやキーワードに基づいて制作された知識であれば閲覧する人が少ない,達成感を得ることが難しい.一方で,知識獲得者にとっては,膨大なロングテール知識の中に自分の興味があるトピックスを発見することは困難である.知識のランダム提供によりロングテールを解消し,知識獲得者の興味のない知識を閲覧する時の退屈感を減少させるクイズ形式のシステムはすでに存在しているが,クイズ作成者が不正解の選択肢も考えなければならないことや,クイズに関する知識が不足している回答者が正解できなかった場合に達成感を得られないなど,知識共有システムとして考えた場合にいくつかの問題がある.クイズゲームの面白さを維持し,問題を解決するため,本研究ではゲーミフィケーションを応用し,知識を楽しく簡単に共有するためのシステム「ライトクエスト(Light Quest)」を提案する.ライトクエストでは,知識提供者としてのユーザは「知識カード」と呼ばれるカードに知識を簡潔に記述する.これによって,そのユーザは経験値が得られる.そして,知識獲得者のユーザがオンラインRPG中でそれらのカードを選択する形式で評価し,その結果に基づいて知識カードがランキングされる.これらによって,知識提供者へのフィードバックを与えると同時に,ロングテール知識の閲覧可能性を向上させることを実現する.これらのゲーミフィケーション要素を含むシステムと含まないシステムを比較させる5週間の評価実験を行った結果,これらのゲーミフィケーション要素によるユーザの知識共有意欲に対する促進効果があることが分かった.また,第3章では,Q&Aウェブサイトにおける知識共有の有の2つのバリア(B1.相手を信じていない,B2.質問者の態度や言い方が好きではない)を低減するために,バーチャルエージェントを利用するQ&Aシステムの提案手法を述べる.この手法では,質問者と回答者を仲介する,回答者にとって好ましいデザインのバーチャルエージェントを導入し,回答者はバーチャルエージェントから質問される.このエージェントは2つの特徴を持っている:1)ユーザと同じ属性を持ち,ユーザが好きな外見と性格がある,2)ユーザに積極的な反応を与える.提案手法の効果を検証するため,全ての被験者に同一のバーチャルエージェントを用いて提案手法の評価実験を行った.その結果,ユーザにとって好ましいバーチャルエージェントを導入することで,回答者がそのエージェントに好意を持つ場合,知識提供意欲が高まることが分かった.第4章では,第3章の提案手法に基づき,ユーザが自分にとって好ましく感じるエージェントの外見と性格を設定できるシステムを提案する.第3章での設定とは異なり,ユーザ個人毎に好ましいエージェントを用意することで,より大きな効果が期待できる.第4章の提案システムでは,ユーザは複数のパーツ(目,顔,髪形など)の選択により,自分にとって好ましい外見を持つバーチャルエージェントが設計でき,Big Five尺度の値の調整により,エージェントの性格が調整できる.また,ユーザのエージェント性格の設定により,エージェントの表情変化や話し方が自動調整できる.評価実験の結果より,多くのユーザが提案システムからユーザは自分が好ましく感じるバーチャルエージェントが作成できることが分かった.また,このエージェントを用いるQ&Aシステムは知識提供意欲が高まることが分かった.
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受理日(W3CDTF)2022-05-09T11:57:37+09:00
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