博士論文
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DOI[10.24561/00019534]のデータに遷移します
離職者訓練(委託訓練)の複合的機能に関する考察
- 国立国会図書館永続的識別子
- info:ndljp/pid/12304343
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- type:text本論文は,失業者への公共職業訓練の一形態である民間教育訓練施設に委託して実施している離職者訓練(委託訓練)の支援の実態と訓練効果を考察することで,離職者訓練(委託訓練)の機能を明らかにすることを目的とした。 1990年代後半以降,離職者訓練(委託訓練)が増加していく中で,政策的に対...
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書誌情報
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デジタル
- 資料種別
- 博士論文
- 著者・編者
- 小林, 仁
- 著者標目
- 出版年月日等
- 2021
- 出版年(W3CDTF)
- 2021
- タイトル(掲載誌)
- 博士論文(埼玉大学大学院人文社会科学研究科(博士後期課程))
- 授与機関名
- 埼玉大学
- 授与年月日
- 2021-03-25
- 授与年月日(W3CDTF)
- 2021-03-25
- 報告番号
- 甲第28号
- 学位
- 博士(経済学)
- 博論授与番号
- 甲第28号
- 本文の言語コード
- jpn
- 対象利用者
- 一般
- 一般注記
- type:text本論文は,失業者への公共職業訓練の一形態である民間教育訓練施設に委託して実施している離職者訓練(委託訓練)の支援の実態と訓練効果を考察することで,離職者訓練(委託訓練)の機能を明らかにすることを目的とした。 1990年代後半以降,離職者訓練(委託訓練)が増加していく中で,政策的に対象者の範疇も広がり,離職者訓練(委託訓練)において処理すべき問題が多様化することが示唆された。そこで,離職者訓練(委託訓練)が職業能力の向上を目指すだけでなく,その機能も多様化するのではないか,という問題意識をもった。 そこで,先行研究の検討を踏まえたうえで,本論文においては,次の4つを検討すべき課題とした。①多様(異質)な失業者がいるなかでどのような失業者が同じ職業訓練を受講しているのか,また彼・彼女らの職業訓練の位置づけはどうなっているのか,②誰が職業訓練の指導をしているのか, ③どのような就職支援が行われているのか,また誰が支援しているのか,④訓練終了一定期間後(9 ヶ月後)の状態は,3 ヶ月後の状態と異なっているのか,異なっている場合はどのような層がどのように変化しいているかである。その際,単に就職したかどうかだけではなく,雇用形態,賃金水準,キャリアチェンジ等の変化をみた。 これらの課題にアプローチするために,本論文においては,民間教育訓練施設を対象に,受講者へのアンケート調査,職業訓練講師へのインタビューを実施し,量的・質的調査から分析をおこなった。そして,支援の実態と訓練効果を考察することで,帰納的に離職者訓練(委託訓練)の機能を明らかにすることを試みた。 第一に,同じ離職者訓練を受講する者は,性別や年代等の単なる一般的な属性だけではなく,学歴や前職の業種や職種,雇用形態等の人的資本においても多様性(異質性)が認められた(第 1 章)これらの受講者の職業訓練の位置づけは,スキル形成を目的とすることや再就職を目的とするなど異なっている。このように同じ職業訓練であっても,その受講目的は必ずしも同じではないため,職業訓練講師からはクラス運営の難しさも語られていた(第 2 章) 。 第二に,離職者訓練(委託訓練)では,職業訓練指導員ではなく,職業訓練講師が指導し,就職支援はキャリアコンサルタントやキャリアコンサルティング技能士の有資格者,ジョブ・カード作成アドバイザーが担っていた。このように職業訓練講師と就職支援講師が別の者によって担われることが多いのが民間訓練施設による離職者訓練(委託訓練)の特徴であった(第 2 章)。また,就職支援方法は,標準的なカリキュラムだけではなく,独自のプログラムを追加して実施していた施設もあり,施設間によって異なっていた(第 3 章)。 第三に,訓練による効果を長期的に多面的に検討した。訓練終了後 1 ヶ月後には 47.6%,3 ヶ月後には 81.6%,9 ヶ月後には95.2% の者が再就職している。再就職するまでの期間は平均 5.7 ヶ月である。特に,男性や 40 代での就職率の経時変化が大きい。職業訓練の位置づけが弱い者であっても結果的には多くの者が再就職をしていることも明らかになった。 一方,正規雇用率は,全体では,23.1%→34.0%→39.5% とそれほど高くはない。さらに,前職と比べ賃金上昇がみられた者は,男性26.2%,女性 35.5%,全体 33.8%であった。ただ,賃金上昇がなかったとしても,キャリアチェンジを実現できた者は 37.4% おり,「仕事と家庭の両立」,「仕事内容」,「労働時間」等の満足度が上がっていた(第 4 章) 。 これらの実証分析の結果,政策的には求職者支援訓練に該当する者や,障害者訓練に該当する者も離職者訓練(委託訓練)を受講していた。また,プライベート上の問題等があり,それが解決しないと就職できない者もいた。従来,職業能力の向上を目指すと考えられていた離職者訓練(委託訓練)においても,様々な訓練受講者の多様な問題への対処が機能として求められているといえる。 そこで,本論文の結論としては,以下とする。第一に,離職者訓練(委託訓練)受講者は,前職において周辺的正社員や非正規雇用労働者が多く(第 1 章),在籍していた事業所等において職業能力開発の機会がなかった者も多かったことから,非正規雇用労働者の訓練機会として機能している。第二に,政策的には別の支援策に該当する者が受講していたことから,離職者訓練(委託訓練)においても,自立支援的な機能が求められるようになっている。自立支援的な機能とは,就労に必要な準備や相談を含めた支援で,例えば,生活困窮者の就労意欲の喚起のためには,その前提としての動機づけ,一般就労に向けた基礎能力の形成など,いくつかの段階をもうけることが必要とされ(金井・四方[ 2019 ]),時間がかかるとされている。そして,自立支援的な機能に含まれると考えられるが,離職者訓練(委託訓練)には「避難所」のような機能があることが示唆された 。 日本の労働市場において,常に「働いている」ことが政策的にも社会規範としても求められる中で,再就職するまでの限られた時間(失業給付受給期間の短さ,短期間の職業訓練)と公的に許される場という意味において,離職者訓練は「避難所」の機能があるといえるのではないか。訓練受講後も前職より賃金が上がらないにもかかわらず,就業条件面(キャリアチェンジ,労働時間の短縮,キャリアの見通し等)や就業先での貢献(スキルやマインド)による満足度の高さから説明できると考える。 以上のように,日本では失業給付受給期間が短いことで失業しても短期間しか所得保障がされず,短期間の離職者訓練(委託訓練)しか受講できない構造自体が離職者訓練の効果を限定的なものにしており,「職業能力の向上を目指す」機能そのものが弱いといえる。そうした構造の中で,離職者訓練(委託訓練)の対象者は広がり複合的な機能を持つようになっている。離職者訓練(委託訓練)の政策効果をどこに置くのか,支援の対象者の範疇,就労困難度合いの把握の仕方,支援のあり方(金井・四方[ 2019 ])を政策的に検討しなおす必要があるだろう。その際,本研究から明らかになったのは政策評価として一義的に求められる就職率を見直すことである。図表リスト ......................................................................................................... vi序章 問題の所在と研究の目的 ........................................................................................ 1 第1節 本研究の目的 .............................................................................................. 1 第2節 本研究の背景 .............................................................................................. 2 第1項 離職者訓練(委託訓練)の政策的位置づけ .................................................................. 2 第2項 先行研究と本論文の位置づけ .............................................................................. 8 第3節 離職者訓練(委託訓練)の制度的枠組み ..................................................................... 10 第1項 離職者訓練(委託訓練)の概観 ........................................................................... 10 第2項 離職者訓練(委託訓練)の財源 ........................................................................... 15 第3項 離職者訓練(委託訓練)受講と受講後のプロセス ........................................................... 16 第4節 研究方法 ................................................................................................. 18 第5節 本論文の構成と内容 ....................................................................................... 19第1章 離職者訓練(委託訓練)受講者の類型化 ....................................................................... 21 第1節 本章の目的と背景 ......................................................................................... 21 第2節 離職者訓練(委託訓練)受講者の特性 ....................................................................... 22 第1項 調査方法 ............................................................................................... 22 第2項 分析結果 ............................................................................................... 23 第3節 本章のまとめ ............................................................................................. 36第2章 職業訓練講師の意識と受講者への働きかけ ..................................................................... 39 第1節 本章の目的と背景 ......................................................................................... 39 第2節 民間施設における職業訓練講師のキャリアと訓練実態 ......................................................... 41 第1項 職業訓練講師とは ....................................................................................... 41 第2項 調査方法 ............................................................................................... 42 第3項 分析結果 ............................................................................................... 43 第3節 本章のまとめ ............................................................................................. 50第3章 就職支援カリキュラムの違いはどのような効果をもたらすのか ................................................... 52 第1節 本章の目的と背景 ......................................................................................... 52 第2節 離職者訓練(委託訓練)で実施される就職支援カリキュラムとは ............................................... 52 第1項 委託訓練実施要領で定められている就職支援カリキュラム ................................................... 52 第2項 委託元能開施設からの入札仕様書等に定められている就職支援カリキュラム ................................... 55 第3項 民間訓練施設で実施されている就職支援カリキュラム ....................................................... 55 第3節 就職支援方法の違いはどのような効果をもたらすのか ......................................................... 58 第1項 調査対象および調査時期 ................................................................................. 58 第2項 使用する測定尺度を選定した理論的背景 ................................................................... 58 第3項 離職者訓練(委託訓練)自体の効果 ....................................................................... 62 第4項 就職状況との関係 ....................................................................................... 63 第4節 本章のまとめ ............................................................................................. 66第4章 離職者訓練(委託訓練)の効果に関する複眼的視点 ............................................................. 70 第1節 本章の目的と背景 ......................................................................................... 70 第2節 離職者訓練(委託訓練) パネル調査 ......................................................................... 71 第1項 調査方法 ............................................................................................... 71 第2項 就職状況(3 ヶ月後調査).............................................................................. 73 第3項 就職状況(9 ヶ月後調査).............................................................................. 76 第4項 賃金状況(追跡調査)................................................................................... 79 第5項 複眼的な効果 ........................................................................................... 82 第3節 本章のまとめ ............................................................................................. 88終章 離職者訓練(委託訓練)の複合的機能に関する考察 ............................................................... 90 第1節 各章の要点と課題の整理 ................................................................................... 90 第2節 離職者訓練(委託訓練)の複合的機能に関する考察 ........................................................... 93 第3節 本研究における今後の課題 ................................................................................. 95参考文献一覧 ....................................................................................................... 97論文初出一覧 ...................................................................................................... 102付録資料 .......................................................................................................... 103主指導教員 : 金井 郁 教授
- DOI
- 10.24561/00019534
- 国立国会図書館永続的識別子
- info:ndljp/pid/12304343
- コレクション(共通)
- コレクション(障害者向け資料:レベル1)
- コレクション(個別)
- 国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
- 収集根拠
- 博士論文(自動収集)
- 受理日(W3CDTF)
- 2022-07-05T02:30:21+09:00
- 作成日(W3CDTF)
- 2022-05-24
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