並列タイトル等Epidemiologic research about Long-term prognosis of patients treated with endovascular aneurysm repair for aortic disease
一般注記[背景]大動脈疾患の多くは無症状で経過する疾患であり、唯一のエンドポイントである大動脈破綻を回避することができれば大動脈疾患がその後の患者の生命予後を規定しないものと考えることができる。一方で大動脈疾患を罹患した症例では様々な基礎疾患を有することが多く、治療により大動脈破綻を回避したとしても、併存疾患により予後が規定されることで健常人に比べて生命予後が不良であることが予想される。しかしこれまで原病死を避け得た場合の長期予後や転機に関する詳細な報告はない。その一因として従来の治療法である開胸・開腹による人工血管置換術の侵襲の大きさが考えられる。一方、近年普及を認めるステントグラフト治療は低侵襲な治療方法であり、患者予後への影響が少ない。大動脈瘤にたいしステントグラフト治療を行った患者を対象として大動脈疾患を罹患した症例が原病死を避け得た場合の長期予後を調査する。[方法]当科でステントグラフト内挿術を施行した1062例を対象として転帰および死亡原因を調査した。原病関連死症例や長期入院症例を除外した782例に対しKaplan-Meier法による生存時間分析を行った。またそれぞれの症例の背景因子について調査しCox-Hazard分析による多変量解析を行った。[結果]転帰は生存474例(60.6%)、死亡255例(32.6%)であり、予後不明症例は53例(6.8%)であった。平均観察期間は1781日であり、最大観察期間は6313日であった。全死亡における5年生存率は72.8%、10年生存率は47.7%であった。死亡原因では呼吸器疾患による死亡を21%と高率に認めた。予後不良因子として年齢、重複瘤、瘤径、呼吸器疾患、脳疾患、悪性腫瘍、透析、血小板数、スタチン内服が示された。[結論]大動脈疾患を罹患した症例では原疾患の治療を完遂し破綻死を避けることができたとしても、その予後は一般に比べて不良である。生命予後の改善には併存疾患を含めた予防や治療介入が必要である。
新大院博(医)第1123号
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受理日(W3CDTF)2023-08-04T23:03:36+09:00
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