繁殖干渉によって形成される農業害虫ミバエ類の寄主植物利用パターンとその調査手法に関する研究
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書誌情報
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- 資料種別
- 博士論文
- 著者・編者
- 北野, 大輔
- 著者標目
- 出版年月日等
- 2026-01-30
- 出版年(W3CDTF)
- 2026-01-30
- 掲載ページ
- 1-
- 授与機関名
- 滋賀県立大学
- 授与年月日
- 2026-01-30
- 授与年月日(W3CDTF)
- 2026-01-30
- 報告番号
- 乙第36号
- 学位
- 博士(学術)
- 本文の言語コード
- jpn
- 対象利用者
- 一般
- 一般注記
- 環論第17号
- DOI
- 10.24795/0002000790
- 国立国会図書館永続的識別子
- info:ndljp/pid/14933779
- コレクション(共通)
- コレクション(障害者向け資料:レベル1)
- コレクション(個別)
- 国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
- 収集根拠
- 博士論文(自動収集)
- 受理日(W3CDTF)
- 2026-05-21T15:05:16+09:00
- 記録形式(IMT)
- application/pdf
- オンライン閲覧公開範囲
- 国立国会図書館内限定公開
- デジタル化資料送信
- 図書館・個人送信対象外
- 遠隔複写可否(NDL)
- 可
- 連携機関・データベース
- 国立国会図書館 : 国立国会図書館デジタルコレクション
- 要約等
- 【論文内容の要旨】 植食性昆虫の多くは、利用可能な植物種が環境中に多数存在するにもかかわらず、特定の植物種のみを寄主とするスペシャリストである。この極端な食性の特化がどのように進化し、近縁種間でどのように寄主植物利用が決定・分化されているかという問いは、生態学・進化学における長年の末解決課題である。同時に、このメカニズムの解明は、特定の作物を加害する農業害虫の発生予察や、効果的な管理・防除戦略を構築する上でも不可欠な基礎的知見となる。これまで、この謎を解明するために、「寄主植物と植食性昆虫の共進化」仮説、限られた餌資源を巡る「資源競争」仮説、捕食者からの逃避を重視する「天敵回避」仮説などが提唱され検証されてきた。しかし、これらの従来説だけでは、資源が十分に存在する状況下でのニッチ分割や、天敵圧の低い植物を利用しない現象など、野外で観察される多様な寄主利用パターンを統一的に説明するには至っていないのが現状である。 そこで、本研究では世界的な農業害虫を含むミバエ類を対象とし、その寄主植物利用パターンの形成要因として繁殖干渉という種間相互作用に着目した。インドネシアに同所的に生息するミカンコミバエ種群2種、および日本在来種であるミスジミバエを対象として、詳細な野外調査、行動観察に基づく飼育実験、および野外適用可能な遺伝子解析手法の開 発を行い、これらを全6章にまとめた。本論文は、ミバエ類の寄主利用決定要因の解明のみならず、その知見に基づいた効果的な害虫防除技術への応用展開までを視野に入れた包括的な研究成果である。 第1章では、植食性昆虫の寄主利用を説明する主要な仮説を包括的に概観し、従来の資源競争説や天敵回避説では説明がつかない事例を整理した。その上で、繁殖干渉(近縁種間の誤った求愛・交尾行動による適応度の低下)が、種の分布や寄主利用を制限する強力な要因となり得ることを理論的背景とともに解説し、有力な代替仮説であることを提示した。また、本研究の目的と、基礎生態学および応用昆虫学における意義について論じた。 第2章では、本研究の対象生物であるミカンコミバエ種群(Bactrocera dorsalis complex) に含まれるミカンコミバエBactrocera dorsalisとBactrocera carambolae、および日本在来種であるミスジミバエBactrocera scutellataについて、その形態、分布、生活史、既知の寄主植物などの生態的特徴について詳細に記述した。 第3章では、インドネシア・ジャワ島において、B. dorsalisとその近縁種B. carambolaeの間に繁殖干渉が存在するかを実験的に検証した。両種のペア飼育実験の結果、B. carambolaeのメスはB. dorsalisのオスの存在下において、頻繁な求愛干渉を受けることで交尾成功率や次世代数が有意に低下することが明らかとなった。一方、B. dorsalisはB. carambolaeの存在による負の影轡をほとんど受けなかった。この顕著に非対称な繁殖干渉の存在は、野外において繁殖干渉に優位なB. dorsalisが適応度の高い好適な寄主(マンゴー)を独占し、その結果として劣位なB. carambolaeが干渉を避ける形で別の寄主(スターフルーツ)を利用せざるを得なくなるという、明瞭な寄主分割が成立している可能性を強く示唆した。 第4章では、日本在来のミスジミバエを対象に、近縁種であるウリミバエが分布しない滋賀県において詳細な寄主利用調査を行った。その結果、これまで利用記録が稀であった野生ウリ科植物キカラスウリの雌花(幼果)を、ミスジミバエが普遍的に利用している実態を明らかにした。この新たな発見と、ウリミバエが侵入・定着した沖縄県ではミスジミバエによる雌花利用が激減した過去の記録を比較検討し、ウリミバエからの強力な繁殖干渉が、ミスジミバエの寄主利用を変化させ、雌花利用の忌避あるいは局所的な排除を引き起こした可能性を考察した。 第5章では、繁殖干渉の実態解明に不可欠な、野外調査における迅速かつ簡便な種同定手法を開発した。従来の飼育同定法にかかる時間的・労力的コストを解消するため、簡易DNA精製法とLAMP法を組み合わせたオンサイト(現地)同定手法を、ミスジミバエをモデル生物として確立した。本手法により、形態的識別が困難な非成虫期(卵・幼虫)の段階で、かつ特別な実験機器を用いずに現場で迅速に種同定を可能とした。 第6章では、本研究の成果を総合的に考察した。繁殖干渉がミバエ類の寄主植物利用パターンや地理的分布を決定する重要な鍵要因であることを論じるとともに、その知見を応用した次世代の害虫防除の可能性について詳述した。具体的には、繁殖干渉において優位な種のオスを不妊化して野外に大量放飼することで、同種メスの繁殖を抑制する従来の不妊虫放飼法の効果に加え、その不妊オスが近縁他種のメスに対しても求愛干渉を行うことで、干渉を受ける近縁種も同時に防除できる可能性について議論した。さらに、優位種が存在する環境下では劣位種の侵入・定着が阻害される原理を利用し、侵入害虫の定着を未然に防ぐ新たな防除戦略の実現性やその優位性について展望を述べた。
- DOI
- 10.24795/0002000790
- 記録形式(IMT)
- application/pdf
- 一次資料へのリンクURL
- 全文 (fulltext)
- オンライン閲覧公開範囲
- インターネット公開
- 連携機関・データベース
- 国立情報学研究所 : 学術機関リポジトリデータベース(IRDB)(機関リポジトリ)
- 提供元機関・データベース
- 滋賀県立大学 : 滋賀県立大学学術情報機関リポジトリ