一般注記口腔がんの頸部リンパ節転移の精査に有用である超音波検査では、リンパ節の形態を示す短長径や短長径比の計測、リンパ節内部の血流パターンや血流量から異常リンパ節の有無や評価を行う。その場合、頸部リンパ節の形態や血流は年齢,性別および体格の影響を受ける可能性があるが、これらの関与について検討した報告は殆どない。本研究では健常若年日本人成人を対象に,年齢,性別および体格指数(BMI)と頸部リンパ節の形態、内部血流パターンの関係について検討を行うという目的は明確である。研究は規定されたリンパ節の測定法を根拠に目的、測定バイアスまで考慮した方法、高度な統計解析法を十分に考えて計画がなされており、かつ、周到な準備の下に論理的に施行され、実証性も良いと考えられる。 結果では、リンパ節の短径は上頸部で年齢とBMI,顎下部で性別(女性)とBMI,オトガイ下部でBMIと有意な関連があり、いずれの領域でもBMIの増加により短長径比は有意に増加し、かつ女性は男性より有意に増加することを明確に示した。また、リンパ節の血流型では上頸部はBMIが増加すると無血流型になる傾向があり,オトガイ下部では有意に放散型になること、顎下部では女性の場合に有意に無血流型になることを明らかにし、明確である。 考察・結論では本研究結果について適切に論文を引用して年齢,性別、BMIと頸部リンパ節の形態や血流との関連を考察しており、超音波検査時の異常リンパ節の評価の際には,性別およびBMIを考慮して検査を行うべきであるとの結論かつ新知見を明確に導いている。 さらに、本研究結果は頸部リンパ節の超音波検査時の重要な基本情報であり、今後、口腔がんの好発年齢である高齢者での検討を行うことで、さらに有用な成果が得られることが期待されるという研究の発展性を示している。以上から学位に相応しい内容であると判断する。
2013
identifier:甲第149号
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受理日(W3CDTF)2015-02-03T05:25:05+09:00
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